忘れないうちに。

予習はテスト範囲までは終了しているはず。
「あ、奥山本2読まなきゃ。」

そして昨日、奥山貴宏さんの二作目の本である、32歳ガン漂流Evolutionをやっとのことで読破しました。
あまり本を読まない、さらに読む速度も遅い僕としては標準的なスピードでした。

本自体は全て奥山さんのサイトのweb日記の記事でした。
月が終わるごとにブログに書かれていたコラムが挟まれています。
日ごとに区切って読めるので、読みやすかったですね、僕としては。

前作より落ち着きのあるイメージがありました、本人もあとがきで同じようなことを言っています。
ただ確実に病状は悪化をし続け、より痛々しい内容が書かれていった気がします。
特に採血・抗がん剤点滴のときに看護師が何度もさし間違えては針を抜き差しするようなシーンは読んでいて想像がつく光景でした。
点滴ノイローゼにかかるなど、本当につらい治療がリアルに表現されています。
病室を供にした人・お世話になっていた人とのふれあいというか、交流のシーンも面白かったです。
いろんなキャラが登場しましたが、その中の数名がおなくなりになったという記事はショックでもありました。

病気が進行し、食欲がなくなっていく中で、奥山さんは主に日本食を中心に食事をとられていました。
出てくるグルメ記事はどれも食欲をそそりました。
そば・すしなどの、ロー・ファット・フードの記事が多く出ていました。
生活の中心である中野・荻窪方面のラーメン屋さんの記事も多く見られました。
あるラーメン屋さんの味の変貌も一冊の本で見ることができました、食ってみたい。

驚きなのは、病気が進行するからこそ生まれる行動力。
ツーリングに行ったという記事、体がつらくても仕事をしたという記事。
いったいどこにそれほどのエネルギーがあったのでしょうか、「やりたい」という意思ですかねぇ。
血の一滴になるまで文章を書き続けたい。
最後まで文章を書くことにこだわりを持っていた奥山さん。
自分の道は文章を書くことであると言っていました。
それはすごいエネルギーのいること出し、同時にエネルギーを与える物でもあると思います。

事実はリアルに書かれており、感動という物はほとんどない。
だけれど今回のガンエヴォは精神的な面が穏やかになっている気がしました。
そして今、僕はそれを読み終え、奥山さんの遺作(と言っては失礼ですが、便宜上。)の
「ヴァニシング・ポイント」(通称ヴァニポ)を読んでいます。
自伝小説ということですが、なんか日記と同じような文体の気がする(まだ最初の5ページくらいしか進んでいないので。)
ですが、まだ見ぬ先のページに期待を寄せつつ、電車で、学校で、読みたいと思います。

ガンエヴォの表紙を見たくないという友達がいました。
理由は、奥山さんがなくなったという事実があるから、悲しくなる。と。
でもそれは違う。それは、奥山さんが望んだことではないのです。
「みんなに忘れられたくないから本という形ある物を残す」という考えで文章を書いたの出から、読まれてなんぼです。
正直、まだ奥山さんがなくなったという事実が僕の中で現実味を帯びていません。
ですが、遠く空の彼方の奥山さんのために、文章を読みたいと思います。

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