16:そして、全てからの別れ

 空港での待ち合わせの間、腹が減ったのでサブウェイサンドイッチを食べる。随行員の方も買っていた。その時点で搭乗が開始になった。
 また飛行機に乗る。今度は深夜フライト6時間。座席に座ってすぐ眠気がやってきた。何と、機内で夜食が出された。サブウェイを食ったおかげで食えやしなかった。その後、眠気のせいで物書きをしようとしたが出来ずに終わった。隣の二人はしきりに喋っていたが、そんなのも気にしないでずっと眠っていた。
 朝飯が出ても食は進まない。あんまり旨いもんじゃなかったから。そのうちに関空についてしまった。なんだかぱっとしないフライトだったことは確かだ。これがみんなと話せる数少ないチャンスだったのにも関わらず。
 検疫や税関を通り抜けると関係者の方々が迎えにきてくれた。両替をしたら、手数料を大量に取られた。悔しい。それから関西空港駅に行く。空港を出ると、うだるような熱風が俺たちを迎える。寒暖の差で風邪を引きそうだ。みんなではるかに乗って新大阪駅に向かう。関空の次の駅、天王寺でメンバーの一人・Merryが降りる予定だった。が、その必要がないとのことで、結局みんなで新大阪に向かうことに。そうして駅に着く。エスカレーターをあがってすぐ、別れのときがやってきた。
 随行員の4人と、Merryとはここで別れることになる。ホームまで迎えてほしかったのだが改札前でお別れ。男子メンバーKeiとも新大阪で別れることになるのだが、俺としてはホームで送ってほしかったので、入場券を彼におごる。改札を入って、いよいよ先ほどの5人と別れる。エスカレーターをあがるうち、Keiの顔が涙でぐしゃぐしゃになり始める。みんなとハグをし始める。「ありがとう」そんな言葉ばかり聞こえてくる。新幹線の停車時間には多少の余裕があったものの、乗客数が半端なく多く、メンバーの荷物も多かったので、乗車に手間がかかり、ドアの前にたってすぐ発射ベルが鳴り響く。最後に彼と握手をしてドアが閉まる。
 動き出した車両では座席をどうするか忙しくて悲しみに浸っている暇もなかった。とりあえず落ち着いてから、隣のRyoは弁当を食べ、俺は物書きを始める。名古屋で降りるHanaeの為に手紙を書きたかった。書き終わった頃に弁当を注文する。これが帰国後初めての日本食になった訳だ。食べ始めてすぐ、「いい日旅立ち」のチャイムが鳴る。名古屋駅に着く。また一人メンバーが去っていく。
 名古屋を出てからも手紙を書く。次の新横浜までは後1時間ほどしかない。あまりメンバーとは話さず、ただペンを走らせた。そうして熱海をすぎるうちに徐々に焦り始める俺。またチャイムが鳴る。もう一人の男子メンバーRyoと数少ない高3生Yukaと別れる。Ryoと別れのハグをすると、出口付近に居た人に「いいねぇ」と言われる。そうして駅に着いた新幹線。微妙な停車時間の長さが嫌なもんだ。いよいよ残りメンバーも5人のみになってしまった。品川のチャイムが鳴ったときにやっと手紙が書き終わる。これでみんなとのコミュニケーションもある程度のものになったと思う。
 ついに東京駅についてしまった。新幹線改札の前にはSayakaのお母さんとNatsumiのご両親がいらっしゃった。それ相応にご挨拶をした。
 ここでほとんどと別れる。SayakaとAsaeは新宿までは一緒だと言う。Natsumiは総武線で帰るらしい。ことにNatsumiは泣きじゃくっていた。レズマディーでかなり世話になった奴だから別れるのは寂しかった。そして彼女たちとついに別れる。まだそれでもKanamiとは一緒にいる。彼女は大宮付近まで電車が一緒だ。
 電車内で話にふける。この旅での仲間のことを思い出しながら。しかし、この電車の中で一気に精神的・肉体的疲労が出てくる。そうしてKanamiの最寄り駅に到着し、改札前まで行って見送りをする。なかなか離れることが出来ない。これから一人になるのが嫌だが、そうならなければいけない。長いことそこにたたずむ。そうして別れの挨拶をする。彼女が見えなくなるまでその場にたつ。
 ホームに出てついに涙が出た。もう悲しくて仕方ない。あの9人の仲間はこの旅で得た一番の宝物だ。そう思えるから、バラバラの場所に帰っていくあの仲間を最後まで見送るのがつらくて仕方ない。電車が来て30分ほど揺られる。いつもの通学路、久喜ー古河の間の車窓を見て余計に現実に戻ることを拒否するようになる。
 地元につく。祖母が駅まで出迎えにきてくれた。自宅に着き、ソファーに寝そべった。この瞬間、僕の旅は終わってしまったのだ。
 地元では花火があった。体はしんどいがとりあえず日本らしさを取り戻さなきゃならないと思って見に行った。空に浮かんだ色とりどりの光の華、その色はあの日々の想い出の色とそっくりだった。


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