10/2、アジアオーケストラウィーク東京公演初日・シドニー交響楽団の演奏会@オペラシティコンサートホール「タケミツメモリアル」に行きました。合格発表の3時間後のことです。その感想をつらつらと。
初台で降りてコンサートを聴くのは、新国立劇場の中劇場での真夏の「くるみ割り人形」以来4年ぶり。タケミツメモリアルは始めての経験です。ドラマの撮影でも使われた美しいプロムナードの階段を上るだけでかなりテンションはあがりました。中に入ると、オーストラリア人らしき人がいっぱい!そりゃそうです、日豪交流50年目の節目。その事業の一環としてやっているらしいのです。どうりで、当日は皇太子殿下がご臨席なさっていました。SPが一杯でものものしい雰囲気であったことは間違いありません。
今回が初来日のシドニー響。巨匠ジェルメッティ(いや、初めて聞いたけど)が指揮するこのオケは、シドニーの名所・オペラハウスの専属のオケで創立75年目。オーストラリアを代表する名門オケだけに期待大でした。
初・タケミツメモリアル、座席は下手側2階バルコニーのステージ付近。真下にコンバス、ホルンやティンパニがすぐそこに見える位置でした。それでもかなり興奮です。演奏の合間にティンパニ奏者やホルン奏者と目が合って、手を振ったりすると応えてくれて、そりゃもうファンとしては興奮ものですよ!
演奏です。アジアオーケストラウィークのお決まりごとは、「その国を代表する作曲家の曲を演奏する」「その国を代表する若手音楽家をソリストに迎えて演奏する」「そのオケが最も得意とする交響曲を演奏する」、以上3つ。それに従った曲目構成になっていました。
1.フライング・バナー 王鐸によせて リザ・リム
パース出身の作曲家がこのオケのためにかいた作品。オケのためのファンファーレだとか。
うーん、訳分らない現代音楽ですな。なによりも金管が目立ち過ぎ。やはり座席が、聴くには少し悪い席だったかも。弦が聞こえないんです。現代音楽はいつも寝るんですが今回は起きていた。だけど訳分らなかった。やっぱり金管が凄かったです。
2.ドゥルネシア姫に思いを寄せるドン・キホーテ ラヴェル
映画「ドン・キホーテ」の劇中歌のはずが、実際には使われなかったそうです。
ソリストのホセ・カルボはオーストラリアで活躍する期待の若手バリトン。いやぁ、声が通ってますな。アルゼンチン生まれだそうで、どこかそういう雰囲気醸し出してましたよ。
ラヴェル作品はその美しさ故に好きですが、この曲は初めて。でもやはり美しい。さらにシドニー響がその美しさを最大限に出してくれるんです。弦楽器はもちろん管楽器セクションがものすごく美しい。聴いたことが無い曲でここまで興奮できるとは思いませんでした。
3.クープランの墓 ラヴェル
同じくラヴェル作品。ほんとうにこのオケはラヴェルが上手いなぁと思いましたね。初めてここまで美しいラヴェルを聴いた気がします。もちろん、この曲自体を聴くのも初めてでしたが。しょっぱなから木管がハイスピードでとばす曲、オーボエの技量がブラバーでした。金管も、しっかりした音量でかつ美しく、うるさくない美しさにほれぼれしてしまいました。
もうね、何度も言うようですが、美しすぎる。予想を遥かに越える技量と音色に大きな感動を覚えました。休憩に入る前から興奮状態でした。ぜひCD化希望と言ったところです。
4.交響曲第6番「悲愴」 チャイコフスキー
ある人はこれを自殺交響曲と呼びます。この初演から9日にして作曲者はこの世を去っています。しかし僕には、ここまで美しい旋律を生み出すに至ったチャイコフスキーが、死を意識していたとは思えないのです。第九に続いて2番目に好きな交響曲「悲愴」。先ほどのラヴェル2作品に続いて、その美しさに圧倒されました。曲が本来持つ美しさをここまで表現できるのか、こんなに感動したの初めてでした。
1番好きな1楽章は、全てにおいて美しすぎる。長調部分の弦楽器tuttiの旋律の盛り上がりと美しさと来たら、もう涙ものでした。そのメロディーをさらに盛り上げる金管楽器の音色に心動かされました。もう全てを持っていかれたように引き込まれてしまいました。激しくなる部分でさえも、曲の世界観、いやオケの世界観に引き込まれました。もう言葉では表せないほどの感動を味わいました。これは、いつも聴いているCDや、この間の東フィル@文京シビックとは桁違いのものでした。
2楽章、最初の音程にはびっくりしましたが、その後のノリの良さには持っていかれましたね。やはり管楽器セクションが際立って上手く聞こえます。ホルンが間近にいたのですが、ホルンが吠えるたびに自分自身から笑みがこぼれていました。
テンポの速い3楽章、冒頭からのノリの良さと、何より金管セクションのうるさくない張った音が聴いている僕のテンションをどんどん盛り上げます。弦楽器ももちろんのこと好演で、オケ全体が一つになって行進するかのごとく情熱的な演奏でした。ティンパニがドドン、バスドラがドドン、シンバルがジャーン、このの時点で僕のテンションは最高潮ですよ。3楽章終わりで拍手がくるほど。これはまさに感動した人が多かった証拠ですね。
まさに悲愴の4楽章は、先ほどの情熱のままたっぷりに聴かせてもらいました。悲しいメロディー、だけどそれよりも美しさが際立っていました。ここは弦楽器セクションブラボーです。そしてホルンがうまい具合に入って来てくれるからそれがそそるんですね。金管とともに盛り上がっていくところも当然ながら、とくに最後の弱奏部分の静けさと来たら!さいごまで引きつけられる演奏に拍手大喝采でした。
アンコール. セビリャの理髪師 ロッシーニ
お初です。さらっとした感じでしたが、なかなか。いや、復習が必要ですね。金管とパーカッションは演奏しないで座りっぱなしだったのに、演奏が終わって指揮者が起立をさせると、ティンパニストも一緒に立っちゃった、他が座ってるのに。そしたら金管奏者に指を指されてて、それがおもしろくって僕もティンパニ奏者を指差して笑っていたら、打楽器奏者に気づかれた。(は?
んなわけで大満足の演奏でした。これで学生A席1600円ですよ、安かった。合格を手にした後の演奏会だけに喜びもひとしおでした。最高!今度は現地・オペラハウスで聴きたいものです。
追伸
さて、次は年末第九。まだチケットとってません。今年はどこに行こうかな。
都響@サントリー? 都響@芸術劇場? N響@NHKホール? 東フィル@オーチャードwith学生当日券? 日フィル+埼玉第九合唱団@大宮ソニック?
思い出すなぁ、去年は留学生のSくんと一緒に東フィル第九+下野さん指揮@オーチャード行ったっけ。
誰か、一緒に行って下さい。チケット手配します。