これで終わりじゃねぇよな?

 宣言通り、抱いている気持ちを文章にすることにしました。さすがに帰宅後すぐ取りかかるには、疲れがたまりすぎていました。日があけて、起きたのは11:30、2時頃からはこたつでぐっすりしてしまう始末。久々の休日も、しゃきっとする暇もなく、私服に着替えることもなく、ぐうたらに過ぎていくだけでした。
 そのせいでしょうか、まだ何か抜けきらない思いが僕に残っています。一夜明けてからメンバーにメールを送ってみたのですが、彼女らにも悔しさや、信じられないという感情が残ってるみたいです。
 俺には幸いブログがあります。少数ですが、読者もいます。なにかの感情のはけ口を持っていることは幸せです。少しみっともないことかもしれませんが。今残っている何かをここでぶちまけて、明日からはとにかく他団体のサポートと自らの練習に没頭できるように、明日から「悔しい・切ない」という言葉を繰り返さないようにしたいですね。
 できれば金管八重奏のメンバーに見てほしいな。

 なんか都合の悪いことでも書いていたようならこっそりメールください。


 そうは言ってもやっぱり悲しいというか、切ないと言うか。完全に燃え尽きた訳ではない。どこかくすぶっている部分がないと言えば嘘になる。顧問は、不完全燃焼で終わらせてはいけないと言っている。責任を感じているそうだ。(吹奏楽部掲示板より引用)でも、俺が今くすぶっている感情を持っているのは誰の責任でもない。これは自分自身の問題だ。きっと同じ感情を終わりには抱くだろう。仮に校内アンコンで予選落ちしていたとしても、仮に全国大会のステージで金賞を受賞したとしても同じことだ。俺はきっと、完璧な形で本番を迎えられることはまずないと思う。実際迎えた本番は、完全な形ではなかった訳だから。
 正直な事を言うようにする。本番が終わって、感涙で目を赤くするメンバーがいた。本気でやりきった、最高の葡萄酒ができた、彼女らはそう思えたに違いない。でも俺は違った。だいぶシビアになっていた。
 演奏中の気分に大きな差はなかった。ただ目の前に大観衆があるかないかの違いだけ。コンディションはなかなかの物だった。音の状態としてはいい位置に持っていけていた気がする。いつも外すところもスムーズにやれた気がした。本番を楽しむことができた。演奏することに喜びを感じることができた。でも、いつも通りにやれた、いつも通りにやってしまった。ソロや速い動きに不十分な部分を見いだしてしまうと、まだやれたのにと後悔の念が残る。今までのなかでは良かったと顧問に言われたのだけれど、俺にはまだまだだったように思えてしまうんだ。
 まだまだと思ってしまう、それは以前も言った自信過剰な部分がそうさせているのだと思う。行けると思っていた。全体としての感触も良かった。だから先を見越して、今の演奏の感触に甘んじる事無く、シビアに演奏を振り返って、来るべき本番に備えて弱点を探そうと思っていた。演奏から終了直後にかけては、とにかく本番終わりの安堵感に乗っかっていたが、すぐに次のためにここをしっかりやれるようにしたいと思うようになっていた。
 今思うと、俺はそれほど熱心に取り組んでいなかったのかもしれない。そりゃ、やってる頃は朝練に行ったり(微々たるもんだけど)、練習も率先して進めたり(自己満足気味だったけど)、葡萄酒の演奏が生活の一部になっていた。でも、ソロの部分をしっかりさらったのかと言われればうんとは言えない。速い動きを繰り返し練習したかと言われればうんとは言えない。後悔が残ってしまうのは、取り組んでいなかった事の裏返しじゃないか。とも、思う。
 そういう邪念が俺にあったことが、今回の結果を生んだのではないかと思う。アンサンブルはチーム戦。事に八人しか以内だけあって、誰か一人の演奏に邪念が含まれていれば演奏にその邪念が出てしまうと思う。他の7人は、本番を楽しむことだけが頭にあったはず。でも俺は自信と後悔を頭に横切らせてしまった。それが演奏に見えてしまったんじゃないか。責任を感じてしまう。高をくくってた、その割に自分の演奏に「あちゃ」と言う気分をもっていた。焦りもあったかもしれない。チューニング・リハの計画が思ったより進まなかった。それに、大きな緊張をもっていなかったのかもしれない。それがメンバーに波及してしまったのではないかと思うと…、自責の念にかられる。

 コンクールの終わりを告げられるには、十分な覚悟ができていなかった。前評判の良かった、少なくとも俺は通過するであろうと思っていた学校が銅賞を告げられた。意外だった。その学校の演奏は聴いていなかったが、本気で「えっ?」と思ってしまった。その次の瞬間のことである。不動岡の名が呼ばれた。正直言おう。俺の覚悟は銀賞ぐらいからできてくる予定だった。昨年の先輩たちの金管八重奏、結果だけを見るのであれば銀賞。せめて銀くらいはとりたいと思っていた。あまりの意外さに、悲しみさえ生まれなかった。茫然自失とはまさにそのことだった。
 賞状授与の直前。舞台袖からメンバーの顔が見えた。泣いてる。タオルを口元に押さえて泣いてる。・・・なら俺は毅然とした態度を取ろう。堂々と賞状を受け取ろう。そう思った。結果が言われた時点で、彼女たちがどんな反応をするか、だいたい予想は着いていた。涙する姿が見えただけに、余計に堂々たる姿をしようと思った。
 俺は一人、授与を追えてホワイエにいた。講評を読んだ。なかなか厳しいことが書いてある、点数もなかなか厳しい。これが現実か。顧問は、「守りでなく攻めの演奏をしたい」と言っていたし、俺も同感だった。講評を読んで、攻めるには俺に力が足りなかったのかもと考えてしまった。あいつら、どんな顔してこっちくるんだろう、顔向けできないかもしれない。そう思っていたのは事実だ。
 ミーティングの時。俺が挨拶をさせてもらった。支離滅裂だった、何を喋っているのか分らなかった。ただ、確実に思っていたことがある。彼女らと俺では、考えていることが違うのかもしれないと。俺は涙しなかった。上辺では、俺が泣いたらみっともないし、彼女らのためにも俺が泣かない方がいいと思っていた。でも実際は、泣けなかった。彼女らはきっと、今まで練習してきたこと、満を持して臨んだ本番、だけど先へ進めなかった悔しさ、そういう事を思っての涙だったに違いない。でも俺は、そこまで熱い気持ちをもっていなかったのだろう。彼女らには本当に失礼な男だ。彼女らの気持ちを代弁することなんて俺にはできなかったし、できていなかった。そんな自分がやけにむなしかった。
 顧問とメンバーとだけでミーティングした。顧問も相当悔しがっていた。「本当に楽しかった」「演奏できるチャンスが減ったから悔しい」「また先へ頑張ろう」そういう言葉を顧問からかけられ、彼女たちはさらに目を潤わせていった。「この学年よりいい学年はもてないと思う」「今までの金管アンサンブルで一番だった」顧問の自分たちに対する期待の大きさが伺える発言も出た。うれしかったと同時に、悲しかった。でも俺は泣けなかった。彼女たちがグスンというその度に、俺は何なんだというむなしさが増すばかりだった。でも、確実に俺は悔しかったし、もう一度演奏したいと思っていたし、だけど本番は今までで最高の葡萄酒だったと思っていた。そのことにかげりはない。
 ばか騒ぎした帰り、電車に乗って急にむなしくなった。現実が待っている。今までの練習の過程は、毎日が幸せだった。夢のようだった。あの八人で演奏することが日常化していて、そこから離れられないでいた。テストの結果もさんざんだった、むしろテストを捨ててまでこちらにかけたつもりだった。その夢の日々が失われたことに対して、妙にむなしさを感じる。実質今日からまた現実の世界に戻る。心から打ち込んで、熱心にアンサンブルをやることは、俺にはもうない。

 ここまで書いておいて、まだくすぶってる。いつもならこんだけぶちまければすっきりするのに。でも、繰り返すようだけど、こういうくすぶった感情はきっとどんな結果を迎えても、終わりのときに必ず訪れるもんだと思う。人間完璧はないんじゃないだろうか。どこか抜けがあると思う。大きな舞台に出て、一番の成績を取れたとしても、俺はその抜けを後悔し、またそこまでの過程を懐かしく振り返ることで、現実逃避をしたくなる。結局同じことだ。
 結果が覆ることはない。断言できる。受け入れなければいけない事実だし、とっくに結果は受け入れている。悔しいのは結果に対してではない。演奏できるチャンスが減ったことに対する悔しさだ。もう一度演奏するチャンスがあったら。もっとあの部分を直していい物をつくれただろうに。もっといい演奏ができただろうにと思うことが俺の悔しさだ。
 この悔しさってのはしばらく忘れらんないだろう。でも、あの優秀で信頼できる最高のメンバーで、友達や先生に恵まれた環境で、葡萄酒という最高の曲をやってきたこと、その幸せというのは一生モンだ。忘れちゃいけないんだ。やってきたなかで得られたものは大きい。演奏への自信だけじゃない。仲間への信頼ももてたし、メンバーとの仲も深まった、確実にそう思う。俺は幸せもんなんだな。
 他の部員もきっとアンサンブルやりたかったに違いない。そんななかで俺は吹連アンコンへのきっぷを手にすることができた。好きなくとも他の分よりいい体験をさせてもらったんだ。それを今度は周囲に還元しなきゃいけないんだ。それが俺のこれからの使命に違いない。

 全ての人に、感謝している。俺が今、悔しさを抱きながらもアンサンブルを通して幸せを手に入れられたことに、感謝している。もうこれ以降後ろは向かない。次に向けて進むしかない。「チャンスの神様は前髪しか生えていない」俺の格言の一つだ。後ろを向いていては、次に来るチャンスの神の髪の毛を掴めない。これで全てが終わった訳じゃないんだ。また葡萄酒はいつでも吹ける。俺らのアンサンブルに終わりはないんだ。前を向こう。

 ここまで読んでくれた皆さん、ありがとう。


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