検証:教職課程がいかに大変かを自分の身に降り掛かったことを使って説明する

まず、3/28以降の、私のやさぐれツイートのおかげで、各方面にご心配をおかけしたことをお詫びします。

昨年度は開講されていて、本年度も当然開講されるとにらんで昨年履修しなかった科目が、なんと開講されていないことに気付き、発狂してツイートしまくった、ということです。その科目が、私の認識では教員免許取得に関わる重大な科目だっただけに、突如開講されなくなったことに憤慨して発狂していました。しかし、冷静になり、トレードオフの対策を考えつつ、そして今日、教職課程センターに確認したところ、以下のことが判明しました(それが本件の結論です)。

  1. 複数の教科の教員免許を、卒業・修了時に「主免許」として一括申請できる
  2. 開講されなくて発狂した件の科目は、「主免許」として申請する場合には必須になる科目ではない
  3. したがって、本人の頑張り次第で、英語の免許と(すでに単位取得済みの)社会の免許は降りる
  4. ちなみに、開講されなくて発狂した件の科目が開講されなかった理由は、文科省の査察で指摘を受けた結果である

それではお詫びの気持ちも込めつつ、順序だてて本件を整理し、状況をご説明したいと思います。

前提として

教員免許は、文科省が認めた大学で特定の単位を取得することによって発行されることが、法律で決まっています。いわゆる教職課程は、法律によって定められた科目を設置している、ということなのです。たとえば、慶應の文学部英文専攻であれば、英文専攻に設置されている科目の一部が、中学・高校の英語の先生になるために必要な科目として認められているため、その科目の単位を教員免許発行の申請に使うことができます。

教科担任生である中高の教員免許を取得するためには、「教科に関する科目」と「教職に関する科目」を履修します。前者・教科科目は、読んで字のごとく、英語であれば英語に関する専門知識、社会であれば社会に関する専門知識に関わる科目です。教員養成課程ではない普通の大学が教職課程を設置する場合、この教科科目は大半の場合、学部が設置する科目になります。なぜなら、学部が提供する専門的な科目(法学部なら法律、経済学部なら経済、理学部なら物理や科学など)が、中高で教えられる科目の専門的な知識と一致するからです。言い換えれば、たとえば法学部の学生なら、法学部を卒業するのに必要な単位を埋めつつ教職免許発行に認められる講義を履修していけば、教科科目はおさえることができるのです。

後者・教職科目は、学校の先生になる上で必要な知識やスキルを構築するための、概念構築/トレーニングです。これらは、専門職を養成する科目なので、教員養成を目的としない普通の学部なら、こうした科目は設置する必要がありません。したがって、教員養成系ではない総合大学の場合、教職科目はエクストラの科目として全学部共通で設置されることが多く、慶應の場合は「教職課程センター」が設置しています。そこで取得した単位はすべて、自由単位扱いとなり、卒業に必要とされる単位とは別に計算されます。

遠藤の場合

私は、学部2年時に教職課程登録をして、教職課程に在籍してきました。

慶應義塾大学総合政策学部に設置されている科目には、中学校社会/高等学校公民の教員免許取得に使える教科科目があります。したがって、総合政策学部卒業に必要な124単位の履修をするなかに、社会/公民のための教科科目を含めることができます。そこに、エクストラ扱いとなる教職科目を追加すれば、社会/公民の教員免許が取得できるわけです。私はこのラインにのっかり、学部4年までの間に社会科の免許の取得を目指して教職課程を履修しました。しかし、あと一歩、教科科目で一つの科目がとれず、学部卒業段階では中学社会/高校公民の免許を発行させることができませんでした。しかし、それでも良かったのです。

慶應SFCにはステキな制度があります。学部生の場合、卒業に必要な単位のうち60単位は、他学部の科目を履修できます。この制度を使うと、たとえば文学部英文専攻の授業を履修できます。そうすると、文学部英文専攻に設置されている、英語の先生になるための教科科目を一定数履修すれば、たとえ社会科の免許課程が設置されている総合政策学部の学生であっても、英語の教職免許を取得することができます。これは普通の大学にはあり得ないことです。慶應において、教職免許を発行させる上では、その学生がどの学部に属しているかは全く関係なく、とにかく所定の単位を慶應義塾大学内で履修さえすれば、何の科目であっても免許取得が可能なのです。これを使って多くのSFC生が英語の免許取得を目指しています。

私の志望は英語教員ですし、研究テーマも英語教育なので、最初からそれをやっても良かったのです。しかし、学部時代に藤沢キャンパスでやり遂げたいことが多かったことから、三田キャンパスに通う比率を高めたくなかったため、英文科の授業を学部中に履修する選択肢はとりませんでした。それでなくとも週に2回ほど他キャンパスに行くことがあったため、まずは学部中に社会科の免許の要件をそろえてしまおうと思ったのです。社会科の免許の要件がそろう、ということは、学校の先生になるための教職科目について要件がそろう、ということになります。そうなると、あとは教科科目(と一部の教職科目)を入れ替えれば別の科目の免許も取得可能になるのです。

私は、教職課程をはじめたあたりから大学院進学を考えていました。大学院に進学すると、2年間で30単位を修めればいい、しかも授業はその半分程度の単位数であることから、ある程度の余裕が生まれるだろうと考え、その余裕のなかで、文学部英文専攻の学部授業を履修し、英語の免許を取ろうと考えていました。実際、大学院においては、他学部/他研究科の科目は、全て自由単位にしかならない分、どれだけ履修しても構わなかったので、先に社会科の先生になる要件をそろえておき、英語の教科科目だけを追加してダブルで免許を発行してもらおうと考えたのです。

さて、問題はここからです。

今回の問題に至る経緯

教科科目は、どの教科にせよ最低限20単位を履修する必要があります。一方、特定の教科の先生になるためには、その教科に特化した指導方法を学ぶ「教科教育法」という科目を履修する必要があります。社会科なら社会科教育法、英語なら英語科教育法です。慶應においては、教育実習に行くにあたって、教育実習で指導を担当する科目の教科教育法を履修する必要があります。私の場合、2010年秋に中学社会科で教育実習を行いましたので、その前年に社会科教育法を履修しています。ただ、教育実習は極論「学校に行けばいい」ので、何の科目で教育実習をしたか、は免許発行には直接関係ないため、複数の免許を取得する場合でも教育実習は1回行けばいいのです。それでも、教科教育法というものは、発行する免許の分だけ、該当する科目のものを履修する必要があります。この、教科教育法は「教職科目」であり、4単位になります。

ところで、学生の中には、すでに教職免許を取得しており、それに別の教科を加えたいと思っている人もいます。院生には多いでしょう。たとえば、すでに社会科の免許を持っているところに、英語の免許を加えたい、などです。この場合、教科科目20単位に加えて、該当する教科の教科教育法を8単位分履修すれば、免許を追加できる仕組みがあります。これはいわゆる副免許申請といいます。

そうすると、ちょっと不思議なことが起こります。慶應の場合ですが、社会科免許を持っている人が英語免許を副免許申請すると考えます。

まず教科科目20単位は、文学部英文専攻の学部設置科目を、規定通り履修すれば事足ります(一部、教職センター科目をとる必要がありますが)。で、教科教育法ですが、普通の教科教育法は英語科教育法1・2の2科目を通年履修で4単位にしかなりません。じゃぁ、残りの教科教育法4単位はどうするんだ、ということになります。慶應の場合、これを担保するための教科教育法が2種類設置されています。それが、「英語科教育法(上級)1・2」と「英語科教育法特殊1・2」です。前者はセット履修ですが、後者の特殊1・2は別々に設置されています。ですから、残りの教科教育法4単位は、前者のセットないし後者のセットを履修すれば良いのです。

問題の発生:特殊1がない!

遠藤は、副免許申請の制度を知った昨年の4月に、「特殊」の方を履修する計画を立てました。「特殊」の2で教えていらっしゃる先生が、私が存じ上げている慶應SFC中高の先生で、現職の教員がもっている講義はそれだけだったからです。M1で特殊2を取得し、特殊1はM2で履修しようと思っていました。そこに誤算が発生し、発狂したのです。

つまり、この「英語科教育法特殊1」が、2012年度の時間割に掲載されていなかったのです。

2011年度までは、この「英語科教育法特殊1」は、他の教科(国語・数学・理科・社会などなど…)と共に同じ曜日・時間帯・担当者で設定されており、しかも三田・日吉・矢上の3キャンパスで展開されていました。その状況を見れば、誰しもが当然「来年度もこれでちゃんと設置されるだろうなぁ」と思うでしょうが、そうは問屋が卸しません。ではなぜ開講されなくなったかというと、文科省が教職課程の実施状況について査察を行い、2011年度は慶應がその対象校だったのですが、そこでこの「複数科目が同じ曜日・時間帯・担当者で設定」されていることがバレてしまい、是正を求められたそうです。これがその証拠です→ 「平成23年度教職課程認定大学実地視察について」のうちの「実地視察大学の概要 慶應義塾大学」 

このため、特殊1は開講されなくなり、副免許申請の28単位申請の道は断たれたと思い、発狂に至ったのです。その発端のつぶやきがこれ↓

速報:単位が足りないとかそういう問題じゃなく、そもそも授業開講がないおかげで、英語の免許が下りない可能性が出てきました。

打開策の検討

しかし、冷静になればソリューションがあったことに気付きました。それは、教科教育法(上級)の履修です。しかしここにも穴がありました。なんと、この科目が開講される火曜日5限は、私のゼミの時間だったのです。研究のための時間を割いてまで英語の免許を取るべきだろうか、とジレンマに陥る私。もう八方ふさがりでした。

しかしそのソリューション自体も疑うことになります。それは、「僕はまだ社会科の免許を取得していない」ということでした。通常、副免許申請というのは、すでに教員免許状を取得している人が行うものであり、わたしはそもそもまだ社会科の免許を取得していません。2010年度(学部4年)では、社会科のうち一つの教科科目を取り落としたため、卒業と同時に免許を発行しませんでした。2011年度春学期にその分の単位を取得したので、社会科の免許を取得する要件はそろっていますが、実際の免許はまだありません。そうすると、自分はそもそも「副免許申請」に該当しないのではないか、ということが思い起こされました。

しかしまだ疑念は拭えません。調べた所、他の大学においては、複数の免許を同時に取得しようとする場合、所属する学部の課程で認められている科目以外を取得する場合は、副免許申請と同じく教科科目20+教科教育法8を履修する必要がある、という場合があることが分かりました。しかし、慶應の教職課程の履修案内においては、同時に複数の免許を取得することについての記載は明確にはありません。そもそもダブル発行ができるのかどうか、そこが問題でした。

ことの結論:ダブル発行はできる

そして今日、ようやく教職課程センターからの公式見解を得られる唯一のチャンスである学習指導がありました。そこで2名の先生に確認をとりました。その結果は、すでに述べた通り、私の場合は英語(単位をちゃんと修められたら)と社会を同時に「主免許」としてダブルで発行できる、とのことでした。

教職免許を発行するためには、教員免許に認められる科目を全部で59単位分以上取得する必要があります。中学校の免許を取得する場合(そして多くの場合は同時に高校免許も取得できる)、教科科目は20単位、教職科目は31単位を最低でも履修する必要があります。20+31=51ですから、59にはあと8足りません。たりない8単位については、教科科目もしくは教職科目を、20・31からはみ出して取得する必要があります。

遠藤は中学校社会科の免許がおりる要件をそろえている時点で、この教職科目31単位以上というのはクリアしているわけです。そしてこの31単位のうち社会科教育法4単位以外は、別の教科の免許を取得することにおいても使用することが可能になります。そうすると、あとは英語科教育法4単位と英語に関する教科科目20単位、合計して最低でも24単位を履修すれば英語の免許は降りるわけです。実際、「8足りない」分をどうするかを考える必要はありますが、いずれにせよ単純な単位の積み上げだけで英語の免許を取得することは可能なのです。ここに、所属学部の縛りはありませんし、私は免許をまだ取得していませんから、副免許申請の制度の縛りは不要なわけです。

従って、この一件において私は、わざわざ、英語科教育法特殊1をとる必要もなければ英語科教育法上級1・2をとる必要はないわけです。ちゃんと単位計算をした上で、粛々と英語に関する教科科目を履修すればいよいのです。

今後の対策

では、これだけわめいたこの一件を踏まえて、遠藤は2012年度に何をしなければいけないか、ということを記しておきます。それは2つです。

まずは、大学院をきちんと修了すること。大学院修了と同時に、大学院の所在地である神奈川県教育委員会から、教員免許一括申請制度によって免許を発行してもらいます。2013年4月1日付けの免許をちゃんと取得する上では、しっかりと研究を行って、ちゃんと修士論文を修めて学位をもらわなければなりません。そのためには、大学院単位で言うとあと10単位は必要です。

次に、そしてこれが重要なのですが、英語系の教科科目を英文科で履修すること。2011年度には、教科科目を10単位、教科教育法を6単位(英語科教育法1・2、英語科教育法特殊2)を取得しています。教科科目ベースでは、あと最低でも10単位が必要で、この中には、英作文・口語英語・文学系科目が必修として含まれます。お恥ずかしながら、これらの科目は昨年度の私のモチベーション低下のおかげで出席を継続できなくなってしまった科目であり、そこに関する意識低下は自分でも悔やんでいるところです。それでも自分はよく自由単位で20単位(学部時代に取り残した社会科教科科目を含む)も履修したもんだ、と思いますが、やはり意識は高く保っていかなければいけないと思います。

もちろん、本当に社会科の免許が降りているのかを、学部時代に取得した単位に遡って確認しつつ、その際の教職科目は31単位以上になっているかどうかも計算せねばなりません。そうでない場合、少し計算が狂います。ですが、もうすでに「この科目が履修できないと免許が降りない!」というとんでもない事態は回避できていますから、粛々と単位取得を目指すのみです。大学院面接の際に「進学の目的の一つは英語の教職免許の取得です」と言ってしまっている以上、そして就職活動の履歴書にも「教員免許取得見込み」と記載している以上、虚偽記載にならないようにします。

得た教訓

そして今回の件で私自身は2つの教訓を得ました。

一つは、教職課程はややこしく、そして面倒だ、ということです。誰もが知っていることかもしれませんが、総合大学で教職課程を履修していくことは、相当な根性と相当な制度理解がないと叶わないことです。どおりで慶應の学生は脱落率が多いという噂を聞くわけです。そもそも単位取得のハードルが高く、その点は文科省に「よくやっている!」と評価された点らしいです。単位さえ取得すれば免許は降りる、という単純な仕組みが、どうしてこうもややこしいのか。今回の一件で僕が発狂寸前に至ったことが、それを証明しています。

もう一つは、かならず事務方に確認をすることの大切さ、です。そもそも私の勘違いは、2011年の春学期に学習相談をした時に始まっていました。副免許申請の制度を正しく理解していなかったため、必須ではないな単位取得をしなければならないと勘違いしていたのでした。私自身、イレギュラーな履修方法をしているという点で、それらはやはりプロフェッショナルである事務方に確認をとらなければならない、そうでないうちはわめかない方がいい、ということです。

改めて、本件で皆様にご心配をおかけしたことをお詫びするとともに、これから教職課程を履修するための心構えを改めてしっかりともった上で、今後の履修に励んでいきたいと思います。


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