(PC推奨)寝付けない夜の小説

その夜、僕は寝付けなかった。
その理由は分からないけど、なんとなしに寂しかったのは間違いないかもしれない。

夕方から上司に勧められた酒を飲み、いやそれほど多くはないが多動し始め、ついにうめき声を上げながら横になった。
ひー。ひぇー。
意識はある。申し訳ございません、と口が動く。ありがとうございます、と僕の声が聞こえる。

カラオケに行くらしいが諦めた。歌う欲求はいつでもあるのに。だが早く家に帰らないと荷造りができないし、そもそもこの酔いはそんなに早く引きそうもなかった。千葉県が好きな男の車に福島県の男と乗り、車の窓を開け首を出す。気持ちがいい。意外と意識ははっきりしているもんだ。それなのに・・・・・・。情けない。

家に帰ってひたすらソファで落ち着こうとする。だめだ、引かない。首に巻いた濡れタオルは酔い醒ましどころか首を締めつけ苦しくさせる。とりあえず口が粘っこい。麦茶を飲んでも胃の中のアルコール分が中和される気配がみられない。
テレビでは松山がでている。そう思うと中井がでている。全くもって内容は気にしていない。ただその日が日曜であることは、出演者から予想がついた。

電話をかける。はっきりした意識の割にぐらぐらする体を落ち着かせるためには、それくらいしか方法がなかったのかもしれない。別に用事なんてない。「ただ声が聞きたかっただけ」なんてコブクロの歌詞にしか出てこないような言葉が口をついて出てきた。盲目のマジックにかかるとこんな気分になるのか、と思いつつ、何気ない会話が成立していた。

青山テルマがシダックスでChoo Choo Trainを歌っている頃になってようやく、風呂に入る決心が付く。母親の洗濯仕事はまだ終わっていない。ちょっとたって湯船につくと、ホッとするような感情は何一つわき上がってこなかった。
プロのつけたワックスも、僕の髪の毛には勝てないらしく、ただべっとりと髪の毛についているだけ。シャンプー→シャンプー→石鹸→シャンプーという順に髪を洗う。全く環境への配慮がなされていない。こんだけやってそんなに実利がないのなら、別に髪の毛など気にする必要もないだろうが、それでもいじりたくなる。だって男の子だもん。

風呂から上がってパソコンをつける。2ヶ月ほったらかしにした研究会HPの体裁だけ完成させて、あとはSAに放り投げてしまった。でもデザインには自信がある。ブログというものも、やりようによっては日記意外の用途にも使える。
なにを着るか、本当に迷う。荷物は多くしたくない。とりあえず、本番は情熱的になろうと思ってタンクトップの色を赤にした。母親に、スラックスのボタンの縫いつけを頼むが、糸を通すのは僕の役目だ。とりあえず諸々用意はできた。充電の不足はないかしら。急いでカメラと携帯に飯を食わせる。満腹になったらこき使ってやろうと思った。

なんとなしに感じる寂しさはまだ癒えない。母親も寝た。パソコンとテレビがうなりを上げているなかで、まだ若干残る酔いと、そして小さくて無意味な寂しさと格闘せねばならない。mixiのトップページを何度も更新する。足跡ページを何度も更新する。コメントを付けた日記記事を何度も訪れる。そのうち、友人が僕の長編日記にコメントを付けた。まるで地平線のずっと先まで広がる広野のような、広い心でもって彼は僕にメッセージを投げかける。まったく、泣かせるような真似をしやがって。ふと、その友人に対する尊敬と心配が自分の中に存在していることに気づく。とりあえず、僕は背中で語れる人間にならねばならないらしい。

周囲から粕と呼ばれる人がインターネット世界から話しかける。あなたは粕ではない、と言ったら、謙遜しつつ伝説を残したことがあると言い出した。ほんの少しであるが、考えていることや境遇が似ている気がするがそれは定かではない。はっきりしたことは、僕が歌うか歌わないかということは、今日判明する、ということ。
さっき電話した人がインターネット世界から話しかける。至極まじめな話からチョコレートのような甘い話まで多岐にわたって、そのターンテイクは覚えていない。ただ、どちらも舞い上がっていたことには変わりなく、時間のたつのは早かった。とりあえず、相手には「楽しみ!」が多いようだ。よいことじゃないか。その「楽しみ!」が誰かと時間を共有できる楽しみであることに、おおかた間違いはなさそうである。

腹が減る。胃腸がひよっているからあたたかいものを食べよう。そして、夕方に茹でておいたキャベツを鍋にぶち込んでコンソメスープを作った。コンソメが2個だけだったので味が薄い。こしょうをかけすぎたら今度は辛い。仕方がないので辛いまま飲んだ。猫舌男には熱くてたまらない。熱いのは、画面越しに繰り返されるインターネット世界での会話も同様だったのかもしれない。
食べ終わりのタイミングで、夢の世界に行く宣言をしたのが、午前3:30。まぁ3時間寝れば何とかなる、という根拠のない不健康習慣をたてに、とりあえず布団に入った。

・・・・・・しかし、まったく眠気が起きない。

脳内iPodで演奏曲を再生して指を追うけど、逆に目が覚める。座布団をふたつに折って抱き枕にしても、抱く相手が人間じゃないから当然落ち着くわけがない。夢? んなもん見れるわけがない。目を閉じても開けても暗闇の中、意識はさらにはっきりしていく。
傍らにいてほしいと想う人が傍らにいてくれたときのことを考える。それでも眠れない。むしろまた寂しさを覚える。よく訳が分からん。飲んで酔って疲れて温かくなって床についたのに、寝れる要素がたくさんあっても寝れない。僕は不眠症ではないはずなのに。

仕方がない、布団ではなくソファで寝よう、と思ったときには、すでに杉崎美香の午前4時の名ゼリフはとっくに終わっている時間だった。それどころか、時刻は世間的には「おはよう日本」だったから驚く。いくらも眠れないじゃないか、これじゃ寝不足になる。と思いながら横になるけどやっぱり眠れない。
外が明るい。みのもんたも出てきた。えい、しょうがないから海辺のカフカを読むことにする。そうしたら物語は佳境に入った。2つの章を読んで、残りは後回しにしようと思った。もう細部は覚えていないけど、大枠で言うと、もうとにかく繋がりそうな感じが冷や冷やする。

日本全国の朝に向かってズームインする時間になって、もう諦めることにした。電車は7:30だけど、それより1本早い湘南新宿ラインで行こう。炊飯器が蒸気を上げる。飯ができたようだから、TKGにしようと思い立った。卵の量が多すぎて、全部かけると茶漬けのようになったため、あわてて米を足す。いつもの朝食よりも量の多い朝食になった。
ワックスを買ったからつけてみる。案の定うまく行かない。プロがやっても、ワックスの整髪力より僕の髪の毛質の方が勝つのだから、素人の僕がやっても歯が立たない。いいか、前髪を流してトップと後ろは毛束を作ろう。それでも毛束はできない。慣れないことはするべきではないのだろうか。

やることはたくさんあるから、文房具としてのパソコンは必需品である。けれど重い。家を出る2分前になって、おいていく決心をした。でもそれで良かったのだろうか。結局は通学時間を無駄にするだけになる。でも寝るからいいか、とも思った。
ところがだ。全く電車内で眠気がおそってこない。両隣の女性は首をうなだれていて、特に右側の女性は僕にもたれ掛かってくる。申し訳ないが物理的に重い。僕はカフカを手に取るがそれも集中できず、とりあえず携帯に向かって文筆を始めた。

そうして、寝付けないまま、まもなく池袋、というアナウンスが聞こえる。まったく、自分はなにをしていたのだろうか。そして、この寝付けない夜を通しておそってきた寂しさはなんなのだろうか。むしろこれは寂しさだったのだろうか。
予定では10時前に学校に着く。楽器吹くか。

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