その瞬間、会場は心からの歓声で包まれた。俺は胸の前で拳に力を入れ、隣にいた友達とハイタッチをした。メンバーはもちろんのこと、メンバーでない者も、涙していた。自分のことではないのに、俺は嬉しい気持ちでいっぱいだった。むろん、メンバーの感情は俺の数十倍の歓喜で埋め尽くされたことだろう。表彰を受ける代表も、ステージを去る間際に涙を見せていた。凛々しい姿だった。抱き合って号泣する者もいた。清々しい気分だった。
その2時間前ほどだろうか。ビデオを片手に、俺はある種の興奮状態だった。ファインダーに移る映像、肉眼で見える映像、そこに映る黒装束集団のある種のオーラは凄かった。確信と自信とともに、幸せな気分を抱きながら演奏を聴いていた。彼女たちはよくやってくれた。本当にいい演奏だったと思う。楽しい曲、演奏を楽しむ彼女たちの姿。聞いてるこちらも、楽しくなっていた。同時に、羨ましさも出てきた。「あのステージで吹きたかったな」それは誰しも抱く感情であることは間違いなかった。ただ、俺は彼女たちの演奏を録画する形でサポートできてると感じた、それだけで幸せだった。
不動岡高校吹奏楽部の代表として、クラリネット八重奏が埼玉県アンサンブルコンテスト県大会に出場した。曲は、天野正道作曲「ドゥ・ダン」。金賞・1位通過という偉業から5日しか経たないうちの本番。そこで、3年ぶり2度目の西関東大会出場を決めてくれた。
金賞11団体中通過8団体。中には強豪と言われる高校がひしめき合っていた。想定外のパーカッション10団体や、金管4団体という、僕にとっては波乱の県大会だったが、なにより代表の推薦をいただいたことはメンバーでなくても嬉しい。
西関東大会は来年1/22。新潟県にて開催される。行きたいな。彼女たちの勇姿をもっと見続けたいな。
とにかく、次へのチャンスをつかめたのだから、しっかり練習をして、西関東に不動岡の名が轟くような楽しい演奏をしてほしい。それ以前に、自分たちの納得いく最高の演奏を目指してほしい。他のアンコン代表チームも、クラ8に続けと邁進してほしい。そして俺たちも、これから先の本番へ向けて練習に励んでいきたい。
感動をありがとう、enshinoはクラリネット8重奏を応援しています。