注1:本当はこの記事、2014年3月に書き始めて、そのまま放置し続けてようやく完成しました。
注2:2015年11月8日にランキング更新しました。追加もあるため改めて順位を見直しました。
ソーシャルアパートメントでの一人暮らしも2年半を越えた。キッチンが共用でもほとんど使わないし、洗濯機が共用でもネットを使えば気にならないし、乾燥機が共用でもコインランドリーは近くにあるし、シャワーが共用でも大した話ではない。
ただ、ゆっくりと足を伸ばして風呂に入るというのは必要だった。学生時代も、独りではもちろん、バイト先の同僚やサークルの仲間たちと、よくスーパー銭湯に行ったものだが、その欲は社会人になっても同じだった。毎週日曜日の夜の銭湯に行く習慣はもう板に付いた。体をゆっくり温めることはもちろん、前の週の疲れを取り除きつつ、次の週への頭と心の切り替えに必要なのだ。
で、問題はどこで入るか、である。
実は私は、若干潔癖性なところがあり、古い銭湯は苦手である。だから、入る場所は選んでいて、しかも限られている。やっぱり綺麗なところがいい。でも銭湯でそんなとこあるのだろうか。
東京にはここ数年以内でリニューアルしたキレイな銭湯が結構ある。まとめサイトにも、結構掲載されているが、ここではあくまでも私の個人的な好みでランキングをお示ししたい。
- 第10位:目黒区・学芸大学「千代の湯」
- 第9位:文京区・本駒込「ふくの湯」
- 第8位:目黒区・中目黒「光明泉」
- 第7位:大田区・蓮沼「はすぬま温泉」
- 第6位:中央区・八丁堀「湊湯」
- 第5位:目黒区・武蔵小山「武蔵小山温泉 清水湯」
- 第4位:大田区・西蒲田「改正湯」
- 第3位:品川区・戸越銀座「戸越銀座温泉」
- 第2位:練馬区・桜台「久松湯」
- 第1位:品川区・北品川「天神湯」
第10位:目黒区・学芸大学「千代の湯」
- ぬるい炭酸泉とあつい内湯
- くつ鍵とロッカー鍵を番台で交換
- きれいさは随一
まとめサイトで紹介されていた銭湯だったので行ってみた。東横線の学芸大学駅から5分ほどで行ける。リニューアルも最近だった様子、非常にきれいなたたずまい。
だいたいの場合、銭湯はロッカーに鍵がついているか、100円式のロッカーだが、ここの場合は、木札のくつ鍵を番台に預けて、その代わりにロッカー鍵をもらう。なので、好きなロッカーを選べる訳ではない。がしかし、そのロッカーが風情のあるレトロな感じ。
風呂は軟水の内湯と炭酸泉。個人的には少ない印象。なので入り方としては、炭酸泉と内湯の交互がいい。炭酸泉がぬるく、内湯があつい。これは理想的な形。1回あたり1時間はかかるのが私の標準だが、それより短めになる。
渋谷で遊んで、多摩川線経由で自宅に帰るにはちょうど良い場所かも。ちなみに、公式Webのアドレスが「tiyonoyu」とな。はぁ、「ti」か。
第9位:文京区・本駒込「ふくの湯」
- 風情ある内装
- 人工ラドン温泉と薬湯の交互運用
- シャンプー・ボディーソープ常備
こちらもまとめサイトで紹介されていた銭湯だったので行ってみた。JR利用だったので西日暮里駅から約10分ほど歩くが、自分にはそんな歩いた気がしない。千駄木の閑静な住宅街を歩いて行くと見つかるのがこちら。
正直言えばとても狭いたたずまいだが、いわゆる古めかしい銭湯の風情を残したままリニューアルされた感じがよい。ロッカーも「ひらがな」なのが風情がある。狭いには狭いものの、きれいさは他のデザイナーズ銭湯に引けをとらない。
今回入ったのは「大黒天の湯」と名の付いた、人工ラドン温泉。ちょっと一杯の後に入ったからだとは思うが割とお湯の温度は高めなのですぐに温まってきた。どうやら週替わりで「弁財天の湯」という薬湯と交互になっているらしく、そちらは今回入ることが出来なかった。
谷根千エリアは、東京の風情ある下町として近年注目されているスポット。近くには東京大学もあり、若い人から老いた人まで様々な客層が見られたが、しかし芋洗い状態にはならずちょうど良い混み具合。今度は、薬湯に入ってみたい。
第8位:目黒区・中目黒「光明泉」
- 2014年にリニューアルした銭湯
- 日替わりで楽しめる露天風呂
- 中目黒駅から徒歩5分以内
書いた通りの駅近銭湯。渋谷で遊んだ帰りに立ち寄るには非常に近しいため、立地では他を圧倒すると思う。2014年にリニューアルされたばかりとあって、非常に綺麗な外観と内装。さすが、まとめサイトでも取り上げられるだけのことはある。
サウナ(別料金)、炭酸泉、と、最近の銭湯が抑えているポイントをきちんと取り込みつつ、なんといってもここの特徴は露天風呂。男女が日別(だっけか)の入れ替え制で、私が行った時にはたまたま男性が露天風呂。すりガラスの向こうは東急線が走るという大都会のなかで空を見上げながら楽しむ露天はすばらしい。
ただしこの銭湯、難点はその狭さ。洗い場で後ろの人のシャワーが引っかかり、浴槽も小ぶりで入るのもなかなか難しい。そのくせキレイであり、中目黒という立地もあり、人がいっぱいでビックリする。サッと帰りに温まる、そんな場所なのかもしれない。
第7位:大田区・蓮沼「はすぬま温泉」
- 大田区にしては珍しい、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉
- サウナがタダ
- シャンプーもボディーソープもタダ
我が家から自転車で5分以内のこの銭湯は、たしかご主人は大田区の銭湯組合の組合長だった気がする。銭湯なのに温泉が出るという時点で引っ越し当時は驚いたものだが、大田区といえば黒湯だと思うが、ここの温泉は黒湯ではなく薄い黄金色の塩気のあるお湯。しかも、温泉自体の温度が18℃程度なため、いわゆる水風呂が源泉にあたる。
内装は、ここまで紹介したデザイン銭湯と違って若干古めな感じがしているが、それでも十分耐えられる。それにアメニティについてはほかの銭湯と違い、ボディソープとシャンプーが常設されているので、「なんでもかまわない」という人ならタオルだけ持っていけば入浴できる手軽さ。
そしてもう一つのポイント。サウナを併設する銭湯は多いが、だいたいが別料金。しかしここはタダで入ることができる。なので、内湯→サウナ→冷水の繰り返しを3回くらいやると、デトックスになる。そして湯上がりにハーブティをタダでもらえるのもすてき。
第6位:中央区・八丁堀「湊湯」
- リニューアルによってきれいになったデザイン銭湯
- 普通なら冷水だろうが、ここでは「熱湯」
- 別料金でも入りたくなるサウナ
地下鉄をおりて徒歩10分ほど。まとめサイト等で真っ先に取り上げられるデザイン銭湯なので行ってみた。マンションの1階に位置するため、敷地は狭い印象を感じるが、中央区だもの、仕方ないよね。
待ち合い場も脱衣所も風呂場も、デザインにこだわっており、特に風呂場の照明はリラックスできる色合い。浴槽のタイル地も落ち着く感じ。
お湯は軟水で、複数の種類がある。特に「熱湯」は通常よりも温度が高いお風呂。「水風呂」は聞いたことがあるが、「熱湯」はテレビジョッキーくらいしか聞いたことがない。けれどこれが好み。入りにいったのは小出国際雪合戦後だったので、別料金でサウナに入る。そのおかげでだいぶ疲労は取れた気がする。
第5位:目黒区・武蔵小山「武蔵小山温泉 清水湯」
- つうか、こんなところに温泉出るんだ
- 黒湯と療養泉を同時に楽しめる露天風呂
- それで値段が460円
武蔵小山の駅をおりて徒歩15分くらい。遠いけれど行く価値はある銭湯。なにせ「温泉」だもの。そして行ってみると、人が多い。恐ろしい込み具合にビビる。銭湯のイメージだと年寄りが多いと思うのだが、若い人も多く、外国人の姿も見える。
たぶん、スーパー銭湯と混同されると思うが、460円の銭湯である。それにまず驚く。内装のきれいさからしてももう少し値段をとってもいいはず。さらに、ここの露天風呂は黒湯と療養泉の2種類に入れる。
しかし、狭い割に人が多い。入れないし、待つ。週末に行くととんでもないことになるんだろうなぁ。ゆっくり入りたい人には向かないかもしれない。けれど、療養泉は塩分濃度が高めのためすぐにあったまるので、その分ベンチや椅子に座ってふんぞり返っていればよいだろう。
ちなみに、湯上がりに食べる温泉卵もおいしい。
第4位:大田区・西蒲田「改正湯」
- リニュアールしたデザイン銭湯
- 黒湯の炭酸泉でめっちゃあたたまる
- なぜか金魚が泳ぐ
蒲田駅から徒歩だと10分くらいだろうか、日本工学院の近くにある、これまたリニューアルされた伝統ある銭湯。大田区といえば黒湯、ここも黒湯が湧き出る銭湯。こじんまりとした雰囲気で脱衣所もきれい。
内湯は、シルクバス、黒湯、炭酸泉の黒湯、そして黒湯の水風呂。風呂の広さはそれほど大きくないが、2010年代のリニューアル後だけあってきれい。その湯船の上は、タイル画(しかも富士山ではない)、そしてその下に金魚の水槽。金魚。でかい。いや、あれはむしろ鯉じゃねぇか?
ポイントは炭酸泉。黒湯は元々冷鉱泉だから加温しているらしいが、ただの黒湯よりも低い温度で(しかし一般的な炭酸泉よりは温度が高め)、かつ濃度が濃いめの炭酸ガスが注入されている。なので炭酸泉の効能である体のあたたまりかたが俄然得られる。その隣が少し温度が高めの「ふつうの」黒湯。この炭酸泉と「ふつうの」の繰り返しの入浴にたまに水風呂を挟むローテーションで、汗の量や体の温まり方は4位のはすぬま温泉のサウナに匹敵。
第3位:品川区・戸越銀座「戸越銀座温泉」
- すてきな商店街のなかにあるデザイン銭湯
- 露天風呂があり空を仰ぐことができる
- 黒湯と軟水白湯の両方が楽しめる
戸越銀座商店街の名前はテレビでもよく耳にすると思う。東急池上線に五反田から乗って2駅の戸越銀座駅を降りて左手に5分ほど歩く(途中で都営浅草線の戸越駅を通過する)と、戸越銀座温泉が右手に見える。
「月の湯」と「陽の湯」の2つのお風呂構成は、日替わりで男湯と女湯が交代。個人的には、内湯が黒湯・外が白湯の「月の湯」がお気に入りだが、「陽の湯」も内装が明るくキライではない。ただ「陽の湯」の露天風呂の方がやや狭いのも事実。
私が住んでいる「蓮沼」駅からは、1本で行けるがそれでも20分かかる場所。それでもここを選ぶ理由の一つが、私なりのこの温泉の楽しみ方にある。「月の湯」がお気に入りであるのはなぜかというと、「月の湯」だからこその楽しみ方、「露天風呂での読書」ができるからだ。「月の湯」の露天風呂に、ジップロックに入れた本を持ち運んで、半身欲状態になりながら本を読みふける。そうしているとかれこれ30分以上風呂につかっていられる。本を読みながら、風呂に入りながら、体も心もリフレッシュできるのは非常に大きい。
第2位:練馬区・桜台「久松湯」
- 内陸寄りにもかかわらず湧き出る強塩泉
- 広くて開放感あふれるデザイン
- 2014年リニューアル
西武池袋線桜台駅から徒歩7分くらいだろうか。実際行った際には練馬駅から歩いたのだけど散歩圏内だった。そんな場所にあるのが2014年リニューアルの久松湯。まとめサイトで取り上げられていたため行ってみたのだが、遠いにもかかわらず他の施設を抜いた。
露天風呂を併設するこの銭湯、泉質は強塩泉で、武蔵小山温泉の黒湯じゃない方や、後楽園・スパラクーアと同じ。しかし、武蔵小山温泉やはすぬま温泉を超えた理由は何かというと、それはキレイさと広さだ。武蔵小山やはすぬまと比べてもそれは上回っており、遠さのマイナスポイントを差し引いても余る。
とはいえ練馬は遠い。遠いのはわかっているが、何かの折に出かけることがあったら足を伸ばしたいと思える場所だった。エンヤが流れる露天風呂は、長湯するとのぼせるものの、温かさの持続っぷりはハンパなかった。そして何より夜の内湯のプロジェクションマッピング。少し照明が落ちた中での光の動きは、心をくすぐる。
第1位:品川区・北品川「天神湯」
- 黒湯の濃さはおそらく東京随一
- デザイナーズ銭湯のスタイリッシュさは他を圧倒
- オリジナルTシャツ販売中(私は持っていない)
電車の最寄り駅は京急・新馬場駅だが、品川駅港南口にある私の会社から15分ほどかけて歩いていくのも一興。旧東海道の宿場通りの商店街を歩いていくので、その風情だけでも十分楽しむことができる。山手通りとぶつかる交差点を曲がると、その山手通り沿いにあるのが天神湯だ。
1位にあげるだけあり、最近はもっぱらここに通い詰めている。実はこの記事は元々3月に公開するつもりでいて、その頃はそこまでだったのだが、もはや現在は毎週末かならずここに通っている。その理由は二つで、黒湯の濃さと施設設備のきれいさだ。
黒湯の濃さは、この記事で挙げた黒湯をもつ銭湯のうちもっとも濃いのではないかと思う。やや「ぬめっ」とした感じが、黒湯の効能でもある美肌効果をより感じさせてくれる。長くつかればつかるほど温まることができ、しかもその温かさは長らく持続してくれる。黒湯は、半露天風呂の位置づけなので、火照りすぎた体を適度に半身欲で冷ましながら入るのもまた一興。
施設のきれいさは、リニューアルしてからの日が浅いこともあり随一で、クオリティは湊湯と同等。そのためか、シニア層だけでなく若者の利用も多いことも特徴かもしれない。広さはさして大きいという訳でもないが、落ち着いたデザインの内装は、湯につかることによるリラックス効果をさらに高めてくれる。その内装、なんとグーグルインドアビューで見られるというから驚き。
いかがだっただろうか。「銭湯」といえば、昔ながらの風情のある銭湯というイメージだろうが、昨今の銭湯はそのイメージを遥かに凌駕する内装とサービスで癒しを提供し続けている。今週もまた、湯船につかって、月曜日からの英気を養うとしよう。