「ねぇ」
「なに?」
「最近さ、ラウンジも雰囲気変わったくない?」
「それなー」
「新しい人も増えたじゃん」
「やっぱさ、だいたいみんな更新のタイミングで、出ようかなってなるよね」
「オープニング組もほとんど出ちゃったし、やっぱ雰囲気変わるよね」
「なんか最初は、夜帰ってきて、2階が盛り上がってる音、ちょっとビビってたんよね。なんか、うちすごいとこ来ちゃったんかな、みたいな」
「わかる。ぜったい楽しいんだろうけど、なんだろ、気後れしちゃう感じっていうか、勇気いるよね」
「入ったころはさ、けっこうみんな夜ラウンジで飲んでて、しかも遅くまで。ほんとみんな元気だなって思ってて、みんな起きているから自分も起きてないといけないのかなとか思ってたかも」
「えー、それは考えすぎでしょ、寝たくなったら寝ればいいじゃんって思うけど。あ、でも、なんか楽しんでるところに入っていくのはちょっとしんどいかも」
「そっか、でもけっこうみんなウェルカムじゃない? なんか、思ったよりみんな優しいっていうか」
「いや、意地が悪い人はこんなとこ住めないでしょw」
「たしかにw でもたしかに、うちらが入った頃から、雰囲気変わったなーってのはあるよね」
「でしょ。だって夜も遅くまで飲んでいる人たち、減ったもん。前は平日だって2時くらいまで起きてた人いたけど、最近は平日だと12時すぎたらシーンってしてない?」
「いやいや、遅くまで飲んでる人はいるよ。でもだいたいおんなじ顔ぶれな気はする」
「でもさ、なんていうか、群れてはないよね。よくこの組み合わせ見るよなーとかはあるけど、でも特定の人とだけ一緒にいるとかなくて、みんなけっこうお互いに話したりご飯食べたりしてるじゃん」
「下、降りてくる人は、基本みんな話すの好きなんだよ。だからシェアハウス住むんじゃんね。寂しがり屋かガチの陽キャ。うちらはどっちかっつーと」
「寂しがり屋?w」
「絶対そうw でも別に苦手な人とかいないじゃん。みんな優しいし。だから群れないんじゃん?」
「じっくり話すとみんなめっちゃおもしろいんよね。おもしろいっていうか、興味深いっていうか。夜だとあんまり仕事の話とかなりにくいけど、昼にワーキングとかラウンジで仕事してると、真面目な一面とか見れるからそれもいいなーってなるよね」
「わかる。マッチングアプリがどうこうとかばっかり話してる人もさ、ちゃんと仕事とかキャリアとかの話聞くと、めっちゃ考えてて参考になったりすることあるよね」
「そうそう、だから新しい人たちも、もっと話したらいろいろ堀り甲斐ある気するんよね。だから、なんかさ、もっとみんな気軽にラウンジ降りてこられたらいいんだけどさ」
「いやーみんなはむずいって。別に関わりたいって思ってない人もいるだろうし」
「それはそうなんだけど、でも関わりたいって思っててもチャンス逃した人もいるくない?」
「あー、たしかに。長く住んでくると居心地よくなって、よく顔合わせる人と喋っちゃって、別に群れてるつもりないけど、グループできちゃうと入りにくく感じるんかな」
「だから言ったんじゃん、『楽しんでるところに入るのちょっとしんどい』って」
「長く居る人たちのほうが、新しい人が入りやすいような雰囲気つくるのが大事なんじゃね?」
「あとは、イベントとかごはん会とか、きっかけがあればだいぶありがたいんだろうねー」
「キャンプとかフェスとか行くのもそういうのがきっかけだもんね。うちは誘われるばっかだけど」
「おんなじー。誘ってもらうのはすごくありがたいよね。でもうち、逆に誘うの苦手なんだよね」
「あんま気にしないでいいんじゃん? 誰か誘ってみんなでどこか行きたかったら、ごはんのときに『〇〇行きたいんだけど』ってしれっと話してみたりすればいいし。みんなフッ軽だから、けっこう乗ってくれること多いしさ」
「でも、1対1とか、みんなどうしてんだろ。なにがきっかけでそうなったりするんだろうね。みんなネイバーズの中でってガッついてる感じもしないじゃん」
「それ、自分で言う?w」
「ほら、うちらは、あれじゃん、類は友を呼ぶ、みたいな?w」
この作品は、遠藤が住まうソーシャルアパートメント「ネイバーズ東十条」において開催した文化祭「Higashi-Jujo Neigbors’ Culture Day 2023」内で開催した文章展示企画である「シークレット・ライター」に寄稿した作品です。