しばらく前に読み終わって、全然書評を書けませんでした。
やっと手にした三田文学。特に文学少年でもない僕が三田文学など合うはずが無いけれども、900円払ってまでも読んでみたかった小説が載っていたから買った。25歳にしてその命を自ら立った青年が遺した、原稿用紙140枚分の文章。本人が慶大法学部卒との事もあり、ご遺族が三田文学に寄稿され、「25歳の遺稿」と銘打って巻頭小説として掲載された。
始めは小説のように文章が進んでいった。しかし、毎日一章のペースなのだろうか、章が進むにつれて、日々の心境の変化というかリズムというか、そういったものが見えて来た。
鬱にあって、その中で毎日のようにいろいろな事を考えている筆者。心境や考えの変化が文章に現れていて、それらが生々しいというかリアルというか。「遺書」に続けて、なぜ若者は死に至ってしまったのか、そこに至るまでのプロセスなり心境なり、「なぜそうなったのか」に思いを馳せると切なくなります。
考えるという事、愛するという事、生きるという事、深く考えるきっかけを与えてくれました。何度も読み返して考えを深めねばと考えます。
読んでみて下さい。それは、生きるためです。亡くなった作者はなぜ遺作を著したのか。そこには「生」へのメッセージが含まれていると考えるのです。生きるために読み返して考えを深めたい。生きるために皆さんにも読んでもらいたい作品です。