オンライン学習のよもやま:⑤Youtubeの非公開設定動画へのアクセスをアカウントごとにコントロールする方法

コロナ禍における学習保証の話と、GIGAスクール構想の話とが相まって、オンライン学習がいろいろ騒がれている。それについてよもやまを書き出しているシリーズもこれで5本目だし、この24時間以内に3本も書いている。シリーズ記事では書き出しを統一しておいて「続きを読む」から先の中身を変えたい派なので、例の如く「例の動画」の印象深いスライドを貼っておく。

Youtube動画からキャプチャしました

文科省の動画配信「学校の情報環境整備に関する説明会」で、担当課長が強い語気でこのスライドを出した時の「たまげた」感はいまだに印象深い。オンライン化は、待ったなしなんだというなか、「うまいこと、しれっとやる」の精神で、いろんな情報を収集したし、いろんなことを考えたし、いろんなことを実践している最中である。自分の記録として、バラバラと、残しておこう。

今回も前回同様にお役立ち系で書いた。今回はちゃんと画像も用意した。偉いぞ、自分。テーマは、セキュリティに配慮した、1人1アカウントのクラウドサービスにおける動画の共有方法について。なお、1人1アカウントの話については、こちらを参照されたい。


懲りずにツール研究ばかりが進んでいる

もういい加減オタクすぎると思う。導入されるわけでもなのになんでどんどん詳しくなろうとするのか、自分でもわからない。しかし私の強みの一つは、この知的好奇心(しかも少し本筋とズレた)だろうと思うので、私的な研究は止めるつもりがない。で、今回は短くしようと思う。私の基本的なスタンスは「頼むから早く1人1アカウントのクラウドサービスを入れてくれ」であり、今回はそれによって実現する世界線としての、「セキュリティに配慮した動画配信」の話である。もっといえば、Youtubeのことだ。

ある先生から聞いたところによると、とある自治体の中で、ある学校は管理職の命を受けて動画をどんどん作り、Youtubeを介して学校HPから配信している一方、ある学校はリスクから動画アップをしない判断をした、という対応の違いが出たところがあったそうだ。その、動画をアップしない判断をした学校の判断理由は次のとおりだ。

URLを知っている人しか見られない設定にしたとしても、URLはどこから流出するかわからない。そうすると、あの先生の授業はどうでこうで、という評判がついて回ってしまう。コメントや評価も下されるみたいだから、それはセキュリティ上どうなんだ。

ううむ。半分は反論したく、でももう半分は納得がいく。反論したいところで言えば動画に関する設定の部分で、コメント受付も止められるしGood/Bad評価も受け付けない設定にできる。各種設定を全オフにすれば、設定上の想定リスクは下がるはずだ。でも一方で、限定公開URLの動画が、いくらYoutubeの検索機能からヒットしないとはいえ、出回ってしまってあらぬ評判を喰らうことになるのは免れない。私は良くても、慣れない人は嫌悪感を感じるはずで、それはそれでリスクだ。

本当にセキュアな動画共有は、アカウントごとのアクセス管理だと思う

そもそも、限定公開URLも厳密には見る人を制限しきれない。そういう状況において個人情報たる顔出しになる動画をアップするのはナンセンスだろう(という思考になったのもごく最近のことで、以前は「別にいいじゃん」と思っていた、大いに反省である)。その回避方法として考えられるのことはいくつかあって

  • vimeoのパスワード設定:
    いいソリューションだと思うけど、vimeoの無料アカウント自体が週500MB / 総計5GBしか使えないので撮って出しの動画を上げまくると容量がなくなる
  • 学校HPにYoutube限定公開動画を埋め込んでHP自体にPWをかける:
    悪くはないが、設定をミスると埋め込み画面からYoutubeのUIに飛んじゃってURLがバレるのであまり意味がない
  • 学校で共用のためのGoogleアカウントを取得しそこに動画をアップする:
    ぜったいやっちゃダメなやつ

という感じになる。やっぱりそうなると、1人1アカウントの世界のなかで、動画へのアクセスを個別にコントロールできるようになったほうがいい。

いや、言わんとすることはわかる。1人1アカウントのクラウドサービスにおいては、Google Driveにせよ、OneDriveにせよ、データへのアクセスはわりと細かめに設定ができ、

  • データの作成者のみしか見られない設定
  • 共有を許可した特定ユーザーのみのアクセス
  • 組織内ユーザーのアクセス
  • 組織のアカウントの有無によらず限定公開URLを知る者全てのアクセス
  • 検索にも引っかかる全世界の人々のアクセス

と、少なくとも5段階の設定はできるし、そのアクセス権を、「閲覧のみ」にもできれば「編集のみ」にもできるわけだ。だが、動画データというのは得てして重いものであり、Google DriveやOneDriveの領域は有限だから(といってもめちゃくちゃ大きいけど)、じゃかすか動画をアップするわけにはいかない。


Youtubeの非公開設定動画へのアクセスを、Googleアカウントごとに管理する

ってことは、動画のアップロード数やデータ総量に制限のないYoutubeにおいて、アクセスコントロールが図れればいいじゃないか、ということになる。しかしそれができるのか、と思っていた。というか、できないと思っていた。しかしそれができることがわかった。

話は簡単だった。手順はこうだ。

①動画をアップロードする。このとき、公開設定を「非公開」にする。

②アップロード後、Youtube Studioの「自分の動画」一覧から該当する動画を選択し、「動画の詳細」画面を出す。

③右上の方にある保存ボタンの横にある、・が縦に3つならんだところをクリックする。

④その、「・が縦に3つならんだところ」から出てくるメニューから「限定公開」を選ぶ。

⑤新しいタブが出てくるので、その画面内で動画を共有したい相手のGoogleアカウントを入力して保存する。ちなみにアップ元のGoogleアカウントがG Suiteで使われている場合、「組織内の全ての人に共有する」みたいなチェックボックスのオプションがあるので、場合によってはそれを使ってもいい。

以上だ。私はこれを、前職の同僚で今は別々の自治体で英語教員をしている友人と、電話しながら一緒に発見した。職員室でPCの画面を見ながら電話をしていて、大声で「あああああ」という詠嘆を発したもんだから、目の前の同僚がびっくりしていた。

ところでその友人に聞かれたのだが、④の手順で・が3つ並んだところから「限定公開」というのを選択したけれど、この「限定公開」というのは①の手順における公開設定の「限定公開」になるってことか、と。確かにこれは日本語がややこしい。ただ私はたまたま、G Suiteで使っている方のYoutubeアカウントを英語版で運用していたので、用語が違うことはわかっていた。

①の手順の、公開設定における「限定公開」= unlisted (検索に載らない)
④の手順の、・3つから見える「限定公開」= share privately (個人的に共有)

である。つまり後者は、非公開設定= private において、個人を特定できる人にだけ share privately にできる、ということだ。これや、これこれ。こうすれば、URLを生徒に伝えても、学校から配布した1人1アカウントでログインできていない場合には動画を閲覧することができない。求めていたのはこれであり、およそ「セキュリティ」という名目で心配されることはこれで解決できるだろう。

だから言っているんだ、1人1アカウントのクラウドサービスが必要だ、と。


やっぱりYoutubeがいいのか、他の策はないのか

で、こうして書くとYoutube最強になっちゃうし、ぶっちゃけそうだ。特に児童生徒が、スマホやタブレットから動画を閲覧する場合、Google DriveやOneDriveの領域にアップした動画を閲覧する場合にはブラウザベースになり、動作があまり安定しない。その点、Youtube領域にアップすれば、アプリ経由で若干安定して見れる。Googleの場合、G DriveにアップしようがYoutubeにアップしようが、どっちにしてもストリーミング用に動画を最適化処理してくれるので、通信回線の状態によって適切なビットレートを選んで再生してくれるし、再生速度を選んだりできる。しかし、字幕とかのオプションまで踏まえると、Youtubeのほうがいい。

じゃぁO365を入れた場合はどうするんだという話があるが、実はMSも、MS Streamという動画配信サービスを持っていて、共有設定まわりやアプリでの再生、ライブ配信などはYoutubeのそれに近いと見ても差し支え無さそうだ。もちろんMS Teamsとの親和性も高い。だが一つだけ欠点があって、動画のアップロード領域に制限がある。1テナント500GB + (0.5GB x ユーザー数) らしい。ということは、ファイナライズしない動画をアップしまくると容量がめちゃくちゃ逼迫すると思われる。Youtubeは動画をアップするとサーバー内で動画を自動処理してくれて、その結果Youutube Studioから動画をmp4でダウンロードすると最大画質でも動画が圧縮されてデータ量が小さくなってくれる。同じ機能がMS Streamにあるかどうかは知らない。

以前の記事でも書いたが、私は教員による動画撮影に対してはあまり積極的ではないが、オフラインの代替ではない、オンラインのパラダイムにおける学習活動設計をするなかでも、どうしても動画を自前で制作しなければならない状況は出てくるだろうと思っていて、その場合にはやっぱり「誰が見ているか」をコントロールできる状況でアップした方がいいと思っている。もちろんそうじゃない周知の方法もあるのだが、より安全にことを進めようとするならば、やっぱり1人1アカウントが必要だよ、と思うのだ。

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