「 #初任者へおすすめの一冊 」(2022年版)に向けて書いた、もう一冊のおすすめの本

昨年のこの時期、古くからの友人である、軽井沢風越学園の木村彰宏先生(私はあっきーと呼んでいる)にお誘いをいただき、2020年に読んだ本の中でも感銘を受けた、宇田川元一先生の『他者と働く』を、学校現場に飛び込む初任者へのおすすめの一冊として紹介しました。

初任者へおすすめの一冊vol.2『他者と働く – 「わかりあえなさ」から始める組織論』宇田川元一(著)

そして今年も、この企画に参加させていただくことになり、選者の一人に選ばれた喜びから、早々におすすめ本記事を書いてしまった結果、シリーズのvol.1の座をいただくことになりました。

遠藤忍さん「初任者へおすすめの一冊『こども六法の使い方』山崎 聡一郎(著)」

ところが実は、掲載した 山崎聡一郎『こども六法の使い方』とは別に、もう一冊のおすすめ本を用意しており、企画チームの一員であるたかのまさこさんにどちらがいいかを選んでいただくことにしました。結果、『こども六法の使い方』をカタリスト for edu の媒体に掲載してもらうこととし、もう一冊は enshino.biz で紹介することとしました。それでは、以下よりおすすめ記事をご覧ください。

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おすすめする本

山田ズーニー『考えるシート』

おすすめする理由

あなたが今踏み出そうとしている一歩は、過去にあなたが歩んだ道と、これからあなたが望む未知との間にあり、またあなたの身の回り・社会・世界と広がっていく空間との関わりの間にある。そうしたときに、あなたが教員として一歩を踏み出そうとすることを、あなたはどう説明しますか?

もう15年以上も前に、高校を卒業する間際に、とある若い先生からこの本を薦められて以降、ベネッセの小論文講座の編集長を担当した経歴を持つ山田ズーニーさんの『考えるシート』は、ずっと私のバイブルであり続けています。いまでも、「過去・現在・未来」の時間軸と、「身の回り・社会・世界」の空間軸との交点に、自分の目の前の一歩の意志がある、と信じ続けています。

高校は推薦入試で、大学はAO入試で、そして一度民間企業での就業を経て、Teach For Japanを通じて教員になった。そういうキャリアを辿った私は、そのいずれのキャリアの岐路において、意識的か無意識的か、この『考えるシート』で示されているイメージを使って、目の前の意志決定にむけた考えの整理をしていたように思います。しかし2020年、思い切って、教育行政の道へのチャレンジをしましたが、結果はそこに届きませんでした。2021年も、同じチャレンジに挑みましたが、やっぱりダメでした。今、私は「やりたいこと」を見失っています。

この紹介記事を書くために、久々にこの本を手にとってみました。そこには

ないものは「書いて」作れ

とありました。そうか、書いているうちに見えてくる、書いているうちに整理される。そんな感じだよな、と、先日自分自身の Vision / Mission / Value の背景を長ったらしく書き出したことを思い返して感じました。

この本には、お詫び・お願い・自己紹介・志望理由・レポート・会議・プレゼンといった、さまざまなコミュニケーションシーンにおける、情報整理の方法が詰まっています。これらのシーンは、職場としての学校において、同僚という他者や、児童生徒という他者とやりとりが発生する場面で必ずと言っていいほど出てきます。そうした場面において、あなたの思考を楽にしてくれる「型」を提示してくれます。その「型」は、その先において、あなたの意志を形作ってくれるでしょう。

あなたには、人と通じ合う力がある。

前書きにある著者の言葉に、私も同意します。

選者プロフィール

認定NPO法人Teach For Japan 7期フェロー。福岡県飯塚市にて中学校英語の講師。1988年生・茨城県古河市出身。2013年に慶應義塾大学SFCの大学院を修了。その後2019年1月まで株式会社マクロミルに勤務し、データ分析・人事(人材育成・制度設計・新卒採用)を担当。満を持してTFJフェローとなり、プログラミング教育・授業へのICT導入・実習とビジネスプランづくりの両輪による農業ビジネス体験・社会人45人を巻き込んだ「社会人と中学生の2on1キャリア対話」の実施・年間コンセプトに基づく生徒会活動の刷新を図る。一方で、現場に入り、学習規律や授業設計、学力向上で太刀打ちできない感覚を覚える日々に遭遇し、教師の偉大さと自分の至らなさを思い至りメンタルブレイクを起こしかけたこともあった。

自身が3年間掲げてきた Vision / Mission / Value について書いたブログ記事を、本企画の呼びかけ人である木村氏にTwitterで褒められたことに気を良くし、そうした考え方をするようになったきっかけの書籍として、今回の本を選んだ。ちなみに、Twitterで最近著者にフォローされてびっくりしたのだが、普段はそんなに有益なことは呟いていないし、教員Twitter界隈での影響力は皆無に等しい。

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