学年通信文学「修学旅行で泣いた私」

生徒たちの日々の様子を伝えることが目的である学年通信。それを担当して2年目、毎週文章を書いているのですが、昨年度の終わりに書いたこの記事が好評だったことをいいことに、今年度は毎回「今週のオマケ」コーナーをつくって、QRコードで動画やサイトのリンクをつけたり、本の引用をしたりしています。今回は、どうしても書きたくなって、私の個人的な思い出話を書きました。


もう、4年前くらいのことですが、東京で働いていたときに、同じく東京で働いていた中学時代の同級生のR君と一緒に食事に行くことになりました。彼とは卒業後、高校や大学に通う電車の中で2~3回会ったくらいで、20歳ころに再会してからは、本当にしばらく会わなかったので、8年ぶりくらいのことでした。R君と食事をしながら、仕事の話をしたりしているうちに、中学時代の話になりました。R君はどちらかと言えばやんちゃなほうで、クラスでも中心にいるような人物。一方の私は、学級代表のような役割ではありましたが、周囲になじめていないと思うような時もありました。ふと、修学旅行の時の話になり、その時にR君から言われて思い出したことがありました。彼いわく「そういえば、修学旅行の部屋が同じだったけど、夜、おまえ、泣いてたよね」と。

今思うと、なんで自分が泣いていたのか、その理由があまり思い出せないのですが、確かに私は、消灯ちょっとまえの21:30くらいだったか、布団をかぶって泣いていました。それは、2日目の夜のことでした。その日の夕食はすき焼きで、部屋ごとに鍋を囲んで食べるスタイルでした。部屋のメンバーが「たまごは握ってもつぶれないらしい」と言いだし、クラスでも握力が強い男子が同じ部屋にいて、彼が実際に生卵を握ってみた、という出来事がありました。生卵は、縦に握る分にはつぶれませんが、その彼は横に握ったので、思いっきり生卵が爆発。それを見てゲラゲラと笑っていました。その3時間後、私はなぜか、布団で泣いていました。

すごくあいまいな記憶なのですが、確かその時、部屋の中のほかの男子が、同じクラスだか、あるいは別のクラスだかの人について、「あいつって、ああだよね」「あいつってさぁ、なんかいやだよね」という話をしていたような気がします。いわゆる、悪口というか陰口というか、私にはそのように聞こえました。決して、自分のことは何一つ言われていませんでした。けれど、そういった話を聞くことが、当時の私には堪えられなかったようでした。「仲がいいと思っていたクラス・学年のメンバーどうしが、本人がいないところでの話によれば、実は仲が悪いかもしれない」ある意味、勝手な思い込みにも近いですが、それがショックだったようです。

「あの泣いている様子を見て、優しいやつだなって思ったんだよ」と、R君との食事でいわれ、私はてれくさくなりました。と同時に、R君が自分のことを見てくれていたことにうれしさを覚えました。「だから私のようになりなさい」なんてことを言いたいんじゃありません。2泊3日を過ごす中で、お互いのいろんな面が見えてくるのが修学旅行です。本音が出る場面があると思います。けれどもう、小中一貫校で8年も一緒に過ごしてきたどうしです。できるだけプラスな面を見つけられたらいいですね、なんて思うわけです。

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