たまごかけご飯の3つの食べ方(お題:ごはんのおかずベスト3)

お題を募集して「ライトに書く」ということをし始めて、週1くらいで書いていくことを試みています。今回は「ごはんのおかずベスト3」というお題をいただきましたが、少しだけ毛色を変えてみました。3000字で終えるはずが、テンションが昂りすぎて、だいぶオーバーしました。


私がいま住んでいる&勤務している市に、育雛をビジネスにしている会社がある。ひよこを、養鶏場に卸す、というビジネスだ。養鶏場はたまごを生産するが、育雛場のビジネスの主戦場は、将来卵を生産する個体を生産することである。

しかし、そんな育雛場でも、毎日のように卵が生まれるので、卵を販売している。面白いのは、育雛というビジネスにおける主たる顧客が養鶏場であるが故に、養鶏場が市場におろす価格よりも高値でないと卵を販売できない、ということ。養鶏場のビジネスを食い潰してまで卵を販売するのは育雛のビジネスとして成立しない。いわば、卵の販売はサブビジネスである。

そうすると、卵自体に付加価値をつけたり、卵を活用した商品を開発したり、ということが求められてくる。そんなわけで、この会社が運営している直売所「たまごん工房」では、卵そのもの以外にも、たまごをつかった惣菜やスイーツが販売されている。さらに、楽天市場の初期の出店企業だったそうで、インターネット販売も手がけており、何十個単位の大量の卵を販売していて、しかもよく売れるそうだ。

なんでここまでこんな話をしているかと言うと、今日のお題「ごはんのおかず」に因んだネタの前振りだからだ。この「たまごん工房」さんには、校区において農業の六次産業化に成功した事例として、令和2年度の総合学習「農業ビジネス体験」のゲストスピーカーをお願いしたのだが、そんなご縁をいただくことになった半年以上前から、この直売所に併設されている「たまごご飯カフェ」によく出向いていた。そう、今日はTKGの話である。


私は、金をかけて美味しいものを食べたいという衝動に駆られることが多い反面、日頃の食事についてはそんなに手間や配慮をかけない生活である。もっとも、自炊をそんなにしないし、する自炊のメニューといってもパスタかそうめんか野菜スープでしかない。仕事柄、毎日黙っていても昼にはメニューの違う食事が出てくる(=給食)ので、それ以外の食事に頓着しなくても済んでいるという側面があるかもしれない。

ただ、困るのは休日の食事である。基本的には、ぐーたらして過ごしてしまう(それこそ昨日はベッドから起きずに1日を過ごしてしまった)ので、自炊をする気もなかなか起きない。かといって、外に出るとコストもかかるなぁ、と思ってしまう。再びの緊急事態宣言発令から、飲食店は時短営業となり、そうすると私が食事を取りたいと思う非常に微妙な時間には、すでに店がやっていないということもしばしばである。

そんな私にとっての救世主が、「たまごん工房」の、たまごご飯カフェである。

とにかく安い。390円で、何杯食べてもいい。牛丼並と同じくらいの価格だが、あっちは1杯しか食べられない。他方、3杯食べたら牛丼並以上の量をたいげることになる。事実、私は1回に平均4杯食べる。食べログのクチコミのトップに「たまごかけご飯は飲み物である」と書いてあったが、まさしくそんな勢いである。社長にゲストスピーカーをお願いする際、打ち合わせでたまごかけご飯カフェの話を聞いたが、390円で食べ放題というのは、まったく採算が取れないらしい。むしろ広告宣伝費として考えているらしい。

それくらい大盤振る舞いな店舗で食べるたまごかけご飯は、値段の割りに存外多幸感に包まれる。休日に学校に出向くこともたまにあるが、だいたい午前中ゆっくり起きて自宅でコーヒーを淹れ、「あ、昼だな」と思った頃に出かけて、たまごかけご飯を食らい、午後イチに学校に出向く。非常に充実した感覚を味わうことができる。時折、児童生徒にも出くわすこともあるが、それくらい地域からも愛されている。


いよいよ、お題の核心に迫る。私にとっての「たまごかけごはんの食べ方ベスト3」の話である。といいつつ、先程、4杯食べると言った。数が合わないじゃないかと思うだろうが、実は食べ方としては3種類あり、①→②→③→①の順で食べる。最後の1杯は、①か②かで迷う時もあるが、だいたいこの食べ合わせである。

まて、そんなに食べ合わせが可能なのか、と思う方もいるだろうが、この「たまごかけご飯カフェ」は、基本セット390円の中に、ごはん&たまご&鶏スープが含まれており、このごはん&たまごが食べ放題である他に、ごはんのお供として、おしんこ・ネギ・ごましお・塩昆布・たまごかけご飯用醤油を自由に取ることができる。この段階ですでに複数の食べ方をチョイスできることはお分かりいただけるだろうが、さらに課金するとおかずをアドオンできる。私はここで、必ずと言っていいほど、明太子をアドオン注文する。390円+110円で、ぴったし500円。こんにち、マックでさえ500円では私の胃袋は満杯にならない。

では、その食べ合わせのルーチーンをご紹介しよう。

①しょうゆ

シンプルにして王道。だからこその第一回選択希望食べ方。卵をとくための器がありながらも、最初はこれを利用せず、温かいご飯の上にいきなり卵を割る。その上から、専用醤油をドヴァッと。

専用醤油はオリジナルで、鰹出汁も入っていたりするから、旨味がすでにある。そしてなにより、たまごである。付加価値をつけないと高値で売れないと言う分、確かに新鮮で栄養価が高そうな卵。事実、えさにはだいぶこだわっているようで、その様子がありありとわかる黄身の色。

卵を割り、上から醤油をかけると、当然分離する。それを混ぜ合わせていくと、黄金のふわふわが出来上がる。空気を含んでふわふわに仕上がっていくTKG。ホイップクリームかよ。ある程度、黄身っぽさを残すくらいの混ぜ合わせかたがちょうどいい。そしてそれを、飲む。食うのではなく、飲むのである。うまい。もう、醤油しか勝たん。

②塩昆布

では2杯目にいくとしよう。もう一度醤油、でもいいのだが、異なるエッセンスが欲しいところ。そこで登場してもらうのが、塩昆布である。醤油っ気ではなく、塩気で勝負である。今度は、卵をとく器を利用して、よく混ぜてからご飯に投入だ。

塩昆布のいいところは、たんなる塩気だけが味のポイントではない、ということだ。昆布の周りについた塩が、卵に溶けていくと、今度は卵の持つ水分のおかげで昆布がすこしふやけてくる。そうすると、昆布が持つ旨味成分が卵に溶け出してくる。卵の主要な栄養成分はアミノ酸で、昆布の旨味もまたアミノ酸で構成される。アミノ酸とアミノ酸のマリアージュ。増幅される旨味。ありがとう、グルタミン酸。

先ほどの①は、黄金のふわふわだったが、今度は所々に黒のアクセントが入る色味。口に頬張れば、昆布の食感も楽しむことができる。アクセントは味・見た目だけでなく、「噛む」という行為にも現れる。ようやくここら辺まで来て、少しずつ満たされる感覚がやってくる。しかし、ここで食事を諦めてはいけない。次が、私にとってのメインである。

③明太子

待ってました。いよいよ3杯目こそが私にとってのメインイベント。このために課金をしたわけだ、これを食せずして終えるのはもったいない。110円で買った明太子を、卵をとく器に投入し、薄皮をはぐ。つぶつぶたちをある程度ほぐしたところに、卵を割って投入し、かき混ぜる。黄色ベースに紅の点が均等に混ざったところで、白いキャンバスに投入する。さながら、金とルビーとも言える輝き。

鶏卵に魚卵。卵に卵。なんて贅沢な高コレステロール食。コレステロールを気にして食べていられるかってんだ。食べたいから食べることの何が悪いんだ。そういう気前の良さを許してくれるほどに、明太子だけで食べる時の塩辛さを鶏卵が中和し、あるいは、鶏卵だけで食べる味気なさに明太子がスパイスを加えてくれる。そうそう。これが食べたかったんだ。

若干の満腹に近い感覚を味わいながらも、口に運ぶほどに湧き上がる美味しさと若干の罪悪感。これを楽しみながら、ようやく「流し込む」ための鶏スープを口に含んだり、おしんこを口に含んだりする。それらもまたうまい。

そうしてまた、①か②をいただいて完食、となる。


というわけで、私にとってのTKGベスト3は、醤油・塩昆布・明太子であるが、TKGはそれだけで本が出版されるくらいに奥が深い料理である。そうすると、もっと楽しめる方法があるやもしれない。皆さんだったら、どんな食べ方をするだろうか。ぜひ教えていただきたい。

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