教育キャリアで迷う人への10の質問

2010年からの友人であり、Teach For Japan教員の先輩であり、新興ツイッタラーながらも教育界隈では絶大なインフルエンサーであり、それがゆえにいい意味で憧れと嫉妬を抱く相手である木村くんが、こんなことをつぶやいていたので、「記事書けよ」とハッパをかけたら「じゃぁ書いて」と逆に言われました。私としては追い込んでやって書かせるつもりでしたが、私としてもネタになるので、つい書き出してしまいました。

元人事であり、駆け出しの現職教員として、世に問うてみることくらいはしたいなと思ったので、「10のアクション」ではなく「10の質問」を作ってみました。

ちなみに、先んじてこんな記事も出ており、これを前提に書いた部分もあるので、参照してください。


「お前誰やねん」

少し自己紹介します。私は、これを書いている時点では、もうすぐ教員1年目を終えようとしている、中学校英語の常勤講師です。採用試験は受けていないので、契約は年次更新となります。ちなみに、認定NPO法人Teach For Japanのフェローシッププログラムを生かしてこの職についています。先に言っておくと、今回のテーマの悩みを感じている人には、わりともってこいな「教員になる方法」だと思います。

現在31歳で、大学院まで外国語教育学を研究して、社会と英語の教員免許を取得しました。けれど、自分自身がビジネスのことをまったく考えてこない大学生活を過ごし、そのコンプレックスもあり、新卒でマーケティングリサーチの会社に就職します。その後、データ分析の仕事を1.5年、人事を4.5年経験して、2019年4月から現在の教員の仕事についています。正直、教員の仕事では全然成果は出ていません。

ただ、人事の間には、新入社員導入研修とその後のケア目的の面談、あるいは新卒採用の面接や面談を行ってきて、独学ながらコーチングっぽいことは得意になってきました。ワークショップデザインや、キャリアにまつわる対話において、問いを投げかけることが比較的得意なようです。なので今回、お題はもともと「10のアクション」となっていましたが、人事時代の経験を生かして「10の質問」を構成してみました。

ちなみに、人事時代の「面接観」や「キャリア観」は、以下のあたりの記事を読んでもらえるとわかると思います。


教育キャリアで迷う人への10の質問

では本編です。お悩みはこうですね。

教員になりたいと思っているが、民間企業で働くのもいいと思っている。どっちにしたらいいんだろう。

では、10の質問をしていきますね。それぞれの問いについて、単語レベルでも、箇条書きでも、文章でもいいですので、答えてみてください。


1) 学校教員になりたいと思っている部分があるのは確かですよね。
いつから、どんなきっかけ・理由で、教員になりたいと思い始めましたか。

2) 教員になったらやってみたいことを教えてください。誰に、どんな影響を与え、そのためにどんなことをやりたいですか。自分が教員になったつもりで、自分がワクワク・イキイキしている瞬間をできるだけ思い浮かべて考えてみてください。

3) ちょっと乱暴な聞き方だとも思うんですが、1)と2)で自分で書き出してみたことを改めて眺めてみた時に、あなたが教員になりたいと思う気持ちは、以下のA語群・B語群・C語群の、どれですか?被る場合は、割合で考えてみてください。もし、当てはまらない場合は、こっそり教えてください。

  • A語群:あこがれ、楽しかった記憶、やってみたい、チャレンジ
  • B語群:問題意識、どうにかしたい、しんどい記憶、ああなりたくない
  • C語群:安定、周りの影響、安心させたい、ここで生きていく

 

4) ではここいらで違った角度の質問をします。日本だけで400万を超える企業があります。あなたが思いつく「企業・会社」を、できるだけ書き出してみてください。あ、NPOのようなところも含んでいいです。

5) その中からいいな、好きだなと思える会社を3つピックアップしてみましょう。
3つの会社それぞれについて、【ビジネスモデル】を書いてみてください。
具体的には、①その会社の商品やサービスは何か、②それら商品やサービスに対してお金を払うのは誰か、③商品やサービスをつくる上で必要なものは、どこのだれから手に入れてくるか、というものです。難しかったら、考えられそうなものを1つやってみてください。

6) いわゆる「新規事業」をするとき、商品やサービスを「かんがえる」仕事、それら商品やサービスを「ひろめる」仕事、商品やサービスを「うみだす」仕事、そうした仕事を「ささえる」仕事、の4つに分けられると思います。言い換えると、企画、営業、生産/運用/保守、そしてバックオフィスなんですが、これら「かんがえる」「ひろめる」「うみだす」「ささえる」のなかで、一番自分の心が向く言葉はどれですか。

 

7) 教員になろうが、公務員になろうが、民間企業に行こうが、はたまた自分でビジネスをしようが、「働く」ということには変わりないと思います。お金をもらう分、「やって」と言われた約束を果たすことだと思います。
そう聞いて、不安だなと思うことがあれば、なんでもいいので書き出してください。

8) 「働く」といううえでは、教員にせよビジネスにせよ、

  • ①仕事であつかう物事
  • ②それを届ける相手
  • ③扱う方法(職種とも言い換えられますね)
  • ④一緒にやる仲間
  • ⑤結果もらえる対価や給料
  • ⑥かかわる人からの評価
  • ⑦自分の仕事が与える影響

という要素がつきまとう気がします。①から⑦を、自分に重要な順番に並べ替えてみてください。

 

9) ひとまず、1年または3年または5年後にもう一度キャリアのことを考え直すことにしましょう。1・3・5を自分の心の中で決めたら、もう一度1)〜8)を見返してみて、教員になるか民間就職するか、どっちにチャレンジしてみたいと思いますか。それはなぜですか。

10) では9)で選ばなかった方について、それでも引き続きなんらかの接点は持っていた方がいいと思います。どんな接点の持ち方ができると思いますか。


質問は以上です。難しかったと思います、本当にお疲れ様でした。

つまずいたあなたへ

ところで、これらの質問に答える=アウトプットをするには、インプット=情報を得る、インテイク=咀嚼して考える、ということが必要です。私も悩みながら10の質問を出しましたが、全体を4つのパートに分けました。それぞれのパートで、考える上での参考となる情報を出しておきますね。

1)3)でつまずいたあなたへ:
もともと教育や教員を志していることを前提にしていたので、一番やりたいのは教員なんだろうなぁと思って質問をしました。このあたりの問いへの答えが薄いなぁと思ったとすれば、それはインプットではなくインテイクとアプトプットが足りない、言い換えると、このあたりの問いへの答えはすでにあなた自身の中にあるはずです。なので、この本で整理するのをお勧めします。

4)6)でつまずいたあなたへ:
おそらく民間企業およびビジネス・お商売ということについてあまりよくわかっていない可能性があるなと思いました。インプットがそもそも足りていないと思われるのですが、他方、いわゆる「職業図鑑」的な切り口での職業調べは、ここではあまり有効ではないと思っています。だからこそぜひ、いろんな企業を知ってほしいので、就活サイトや合説、Youtubeで会社説明動画を検索! と、言いたいところですが、闇雲にそれを始めると、「職種」やら「業界」やら、何を軸に情報を取っていけばいいのかわからなくなるので、以下の書籍を使って、まずはいろんな企業を見るときの「ビジネスモデル」=価値を提供する相手が誰で、どう対価を得ているかを見る視点を養った方がいいと思います。

7)8)でつまずいたあなたへ:
「働く」ということがどういうことなのか、なかなかイメージしにくいんだと思います。そしてこのことは、実際に働いている人でも、どういうことかを考えるのは難しい気がしています。なのでインプットもインテイクもアウトプットも、なかなかしづらい問いだった気がします。一応本も紹介しますが、この部分については僕自身が過去に、中学生向けにサラリーマンの仕事を説明する機会があって、その記録をブログにしているので、そちらも読んでみてください。

9)10)でつまずいたあなたへ:
ここまでくるともはや、インプットはあなたが8)までで書いてきたことですから、あとは考え抜いて、「いまここ」での当座の答えを出してみましょう。いったりきたりして考えていいので、納得しきれない部分があれば、また1)〜8)の問いに戻ってみるのもいいかもしれません。ここまでくると、あとはロールモデルの話を聞いた上で、自分だったらどうかというのを考えてほしいですが、参考までに私の場合について、ブログ記事を引っ張っておきます。


おわりに:迷って悩んで、納得解でとりあえず進んでみる

私が人事時代にやってきた採用面接でのアプローチでは、こうして質問を構造化させてしまうことはあまりしないので、今回お示しした10の質問も、ちょっとした違和感を残したままであることは否めません。が、アクションをして動くことと同じく、自分の頭で考えることが大事だと思うので、「10のアクション」ではなく「10の質問」にしてみました。

考えてみて、見つからなければ動く。動いてみて、また自分に問うてみる。ぶっちゃけ正解はないので、教員をやれとも、民間に行けとも、どっちとも言う権利は私にないからこそ、答えを自分で見つけてほしい。まして新指導要領でも示されている学力観に照らせば、唯一解の転移ではなく、納得解の発見を促すことが教員の役割になるからこそ、教員をキャリアの選択肢に加えているのであれば、自分で悩んで自分の答えを導き、迷いながらも信じるということを、身を以て体験してほしいと願っています。

そして、最後にもう一つ。納得解は、いま時点で納得できるだけのことで、今後その納得解が変わることは大いにあり得ます。ビジネス界でも、転職やら会社に属さない働き方やら事業の形態の多様化やら、「働く」において「変わる」ことはもはや前提の時代。だからこそ、一生を今決めるのではなく、3年・5年・10年くらいの区切りで考えていってもいいと思います。そんくらいのつもりで、インプット・インテイク・アウトプットを繰り返してみてください。

私からは以上です。


追記

はよ書け。

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