第6回授業ノート

ライティング技法ワークショップ(担当:斎藤俊則) 講義メモ
第6回 07.11.19

本日の論題
(1) 「文書の設計」とは何か
プラモデルにも設計図=部品を組み立てる指示の出しかた→文書も同じ捉え方
・ (部品としての)要素の集合としての文書 階層化
章の集合>節の集合>パラグラフの集合>文の集合
・ 議論の進行の定型=ちゃんと覚えておきましょう
起承転結はやめた方がいい(元は漢詩、うまい話の仕方)
 「転」は、うまい結論を導くための一つの展開
⇔話が飛ぶから仕事の文書はいらない、最後まで結論が見えないのはつまらない
 =先に結を言おう
・ 理にかなった説明順序とは 序論本論結論
序論=マップ あらかじめどんな話をするのか伝える
本論=さまようところ 序論の詳細を書く
結論=あらかじめにおわせた結論を引き締め・詳しく

(2) 目標規定文
・ 目標規定文とは何か
その文書自体が何をするのか
・ 文書の目標の定型 pdfファイル参照
・ 目標規定文の使い方 この順でこの話をする、という道しるべ

(3) アウトライン
・ アウトラインとは何か=骨子
・ アウトラインに何を書くべきか
・ KJ法図解からアウトラインを書き起こす際の留意点
すべてKJ法から変換していく
見出しがあるかないかで違う=見出しは見出し

!再来週までに目標規定文とアウトラインを作る!
参考文献
木下是雄,『レポートの組み立て方』,ちくま学芸文庫,1994年.
阿部圭一, 『明文術 伝わる日本語の書き方』, NTT出版, 2006年.

第5回授業ノート

ライティング技法ワークショップ 講義メモ
第5回 07.11.12

本日の論題
『結論先行』型
(1) 「書くこと(=行為)」と書かれる「内容」との関係
・ 「内容(=メッセージ)」があるから書くのか?
頭の中に先に内容があるから書く、というステップ
  ⇔書き始める前段階で内容が100%出ているのか?
内容は後から出てくる(書く行為によって後から内容が生まれる)
  →表現しているうちに内容が生まれてくる
・ 未熟な書き手にとってのKJ法の意味
書いているそばから内容が生まれてくる=結論が見えていない
 →コントロールができていない(見通しが立たない・グダグダ)
あらかじめできるだけ「内容」を揃えてからがいい=KJ法という手段
   KJ法の図解が内容そのもの(脳みそをいじくってできた)
・ 「書くこと」の効用
頭をクリアに、思考の中身を整理・構造化

(2) 「メッセージが伝わる」とはどういうことか メッセージが届く事が前提
・ 「メッセージ」は文書の中にあるものか?
 文字たちの背後にあるメッセージ?←こんなもの無い!といえる
  =A氏が感じるメッセージとB氏が感じるメッセージは同じか
・ 読み手とメッセージとの関係
 読み手が読まなければ・誰も読まないのならばメッセージは発生しない
A氏とB氏のバックグラウンドの違い
どれが正しいのか、は存在しない・幻想じゃねぇか
・ 読み手の手がかりとは・・・ 各人が言葉の約束事を手がかりに読む 
 文脈(今時で言う空気)を判断して読んでいく
   →読み手が持っている言語の約束を使って書く必要性
・ 「聞きまちがいは言い手の粗相(そそう)」(阿部 2006, p24)の原則
文書の誤解は作者の錯覚、結局作者がそんな書き方するから悪い
  …作者の思考内の「正解」は、明日になりゃ違う

(3) 「結論先行」の勧め
・ 「結論先行」とはどういうことか? オチを先に書く
 丁寧なのは結論後攻型だが・・・文書では?
・ 「結論先行」が読み手にもたらすこと
 結論を聞いたら、理由を聞くよ(逆だとうざったい)
時間と労力の軽減、聞きたい事・知りたい事に答えられている、という実感
・ 「結論先行」が書き手にもたらすこと
 不自然な事をわざとやりましょう。

参考文献
阿部圭一, 『明文術 伝わる日本語の書き方』, NTT出版, 2006年.

第4回授業ノート

ライティング技法ワークショップ 講義メモ
第4回 07.11.05

!課題提出来週まで!

本日の論題
(1) KJ法の図解化に際しての注意
先週までが、4段階のうちの2つ
?テーマに関するカードを書く
 一枚につき一つの事を「文で書く」=体言止めにしない
?1.カードのグループ分け
  「似ている、同じ、近い」で直感的に・勘が働いている事が大事
   =新しい発想、新しい知識を生み出す事が目的
      ⇔既存の知識・分類にとらわれない事が重要
 2.グループの見出し(=標札カード)を付ける
   =すべてのカードが、要するに何を言いたいのかを表している
   構成するカードを眺めて、耳を傾けて、「文で書く」

?図解化する
 グループ分けの後に、枠で囲う、線で繋ぐetc.
・ カード,グループの配置法:図解化の手順
 1.見出しカードの配置←直感に従って、近い遠いの配置決め
     何となく端、何となく中心、何となく隣、何となく縦など
 2.各グループ内でカードを配置←これも直感的に
     「グループのグループ」位までならつくってよい
 3.関係線を引く←関係がありそうなら線、方向があるなら矢印
・ 配置に関する制限事項
 ある一つのカード(またはグループ)に対して、関連するカードは前後左右斜めの8カ所に置けるが、それ以外には置けない。バッティングした場合で妥協できなければ取捨選択をする。
 →二つのものが同じ位置に来る場合は、内容が一緒か片方が重要
  見方の変更に繋げる事ができる
・ 関係線に関する制限事項
 関係線は近くに、遠くでも交差しないように=交差したら、あきらめるか配置を変える
面倒だけど、このプロセスを踏んだ方が断然良い

(2) KJ法図解の文章化の方法:図をどのように文字おこしするか
図解がしっかりできていれば、
・ 図解の読み取り方
 どこか視点を「えいやっ」と一つ定めて、そこから関係線を一筆書きでなぞっていく→そうすると構成が完成する
・ もしも行き詰まったら
 無理に読むのはやめて、図解の配置を見直す
  ←配置に問題があるor情報不足(=空間がある、何か入るはず)
・ “解釈”と“議論”の重要性
 異議がある、違和感がある=議論をして、カードだし・配置換え
 だれかがたたき台をつくってからの方が進みやすいかも

(3) KJ法を用いた文書作成のプロセス:KJ→何か→KJ→何か…
・ 企画概要を決めるための段階(グループ全体での作業)
 本日やっている段階
・ 文書の全体像を明らかにする段階(グループ全体の作業)
 どんな文書にしようか:コンテンツ←KJ法のやり直しor追加
・ 文書を構成する部分の詳細を明らかにする段階(各個人での作業)
 自分の分担をどう膨らますか←KJ法を自分でやり直し

(4) 企画書作成の目的と作成手順
・ 企画書の目的
 自分で何をつくるつもりなのか、何をするつもりなのかのメモ
   →書き出してみないと分からないものをはっきり並べる
     =よりよいものが出来上がりやすい(軌道修正できる等)
・ 企画書の作成手順:KJ法の図解を見ながら
 タイトル案を考える
 目的を簡潔に述べる
 誰を対象とするかを述べる
 要求事項を述べる
・ 第1回提出課題について
 KJ法の図解と企画書の提出とを出す(〜11/12 23:59)

参考文献
川喜田二郎, 『続・発想法』, 中公新書, 1970.