はじめにご理解いただきたいこと
まず、この記事を書くこと自体、相当なリスクがあることを私は認識していると宣言しておきます。その上で、この記事は、遠藤忍という一個人の見解であり、慶應義塾が組織としてもつ見解とは全く関係がないことをお伝えしておきます。くどいかもしれませんが、ここに書いてあることは全て遠藤忍の認識ですので、慶應義塾が公式に考えている見解であると勘違いをされても、当方はおろか慶應義塾でさえも一切の責任は負いません。
と、ここまでの注意書きを書かねばならぬほど、学生ガイドという職責をやらせていただくことには責任が伴うというのが事実です。大学の進路選択は、人生の選択において大きなウエイトを占めるものの一つですから、その情報を与える機会に携わる者は、本当にシビアなリスクヘッジが求められます。
それでもなお、私がSFCの「学生ガイド」を皆さんにお勧めするのは、自分自身が学生ガイドという職責に対して、かなりの誇りと自信をもっているからです。それはつまり、慶應SFCというキャンパスに対して、その建物もカリキュラムもそこにいる人も、すべてひっくるめて、誇りと自信と愛を持っていることと同じことです。自分が誇りを持って生活をしているこの場所の魅力を、その場所を代表して伝える、ということの達成感と快感は非常に大きな自信を与えてくれます。
学生ガイドって何をするか
一言でいえば「オープンキャンパスのスタッフ」です。
オープンキャンパスは、主に高校生に対して、このキャンパスはどういった場所なのか、ということをお示しする機会です。当然、やってくる高校生や受験生は、このキャンパスの学部を受験候補に入れている人々ですから、大学での学びや大学生活に関する情報だけでなく、入試にまつわる情報も提供しています。
入試にまつわる情報は、学生には絶対に触れられない領域です。個人的体験でさえ、話していいライン/悪いラインがあるくらいなのです。では学生はどこの領域で活躍するかというと、大学生という立場から、大学の学びや生活に関する情報を提供する部分です。そのためにSFCの学生ガイドに与えられているツールが4つあります。
- キャンパスツアー
- コミュニケーションコーナー
- θ館ホールでの学生企画
- 学生ガイド作成パンフレット
巷のよくありがちなオープンキャンパスの学生スタッフは、事務方がお膳立てしたオープンキャンパスのプランにそって、単なるスタッフとして働くというパターンが多いと思います。しかしSFCでは伝統的に、事務の担当部署の皆さんにオブザーブしてもらいながら、上記4つのツールを自分たちで企画・プランニングしていきます。そして当日は、組まれたシフトに則り、また公式スタッフとしての規範に則りつつも、自主的な動きが期待されます。
愛して止まないキャンパスツアー
そんな中、私は長らく「キャンパスツアー」に対して心血を注いできました。自慢になってしまいますが、現在では新規学生ガイドへの「模擬ツアー」の実施を任せていただくなど、同じ学生ガイドからも、また事務方からも、教員からも、遠藤のツアーがSFCで一番だ、と認識されています。それほど思い入れが深く、また自信も強く、それでいて責任も重く感じています。
キャンパスツアーは、単に建物を回るだけではいけないと思っています。いかに熱心に、取り組むか。いかにキャンパスの情報を建物の紹介に織り込むか。いかにキャンパスを楽しい場所だと思ってもらえるか。そして、もっとも重要なこととして、いかに来てくてた受験生がキャンパスで学ぶ姿を自分で(あるいは親御さんが)イメージできるか。そのためにも、面白く、印象に残りやすく、魅力あふれるキャンパスツアーをつくりあげることに自信をもっています。
ここまで熱を注ぐのは、それが楽しいからという理由が一番です。しかし、そのきっかけは、自分にとっての高校時代最初で最後だったオープンキャンパスであるSFCのオープンキャンパスでのキャンパスツアーにありました。
「ここに入学して、このキャンパスツアーがやりたい」
実はSFCの現地に赴いて感じたことは、ここで学びたい、ということ以上に、キャンパスツアーをしたい、ということでした。建物に感動したとか、カリキュラムに感動したとか、人に感動したとかではなく、キャンパスツアーがやりたかった。そうした想いが確かに6年前に生じていました、というかむしろ自分がツアーをしているイメージがわいていました。そして念願の入学、学生ガイドへの応募、オープンキャンパス当日になり、そこから私のジャングルクルーズ的キャンパスツアーが始まったわけです。
学生ガイドをやってよかった10のこと
それで本題なのですが、このポストをしているのは学生ガイドを現在募集しているわけで、その締め切りがなんと明日というわけで、書いております。そうするからには、お勧めできるポイントを挙げてみようと思っております。
- キャンパスのことがとても好きになる
これは当然のことですね。キャンパスが好きでなければできる仕事ではありませんし、そうでなくてもやっているうちに好きになります。でも、好きになるということは、魅力だけでなく、デメリット部分も知っておく、ということです。他大学や他学部とSFCとを比較する視座がついて、何がよくて何がダメなのかに客観的になれます。だからこそ、好きになれるのです。
- SFCの制度や仕組みがよく理解できるようになる
SFCの履修をはじめとする制度、サークルの存在などがよく分かります。ほぼ全ての選択を自分でしていくSFCでは、制度をちゃんと理解して自分の選択に責任を持たなければいけませんが、時おりそれができなくなるときがあります。それで大変なことになっている学生をたくさん見るたびに、SFCの制度をよく理解しておくことの大切さを痛感します。SFCで損をせずに生きていくうえでは、必要な知識を得られるでしょう。
- キャンパスのうんちくをたくさん知るようになる
20年前にできたSFCには、たくさんの想いがつまっています。また、20年分の想いやできごとも詰まっています。それらをうんちくとして知っておくと、SFCに対する想いが広がるでしょう。自分がどんな想いがつまったキャンパスで過ごしているか、ということを知ることができます。なにより、うんちくをしっていると知識をひけらかすことができて優越感に浸れます。
- 自主的に動くやりがいを得られる
学事のみなさんとの相談をしながら、学生が自主的に企画を組んでいくのがSFCのオープンキャンパスの特徴です。話に聞く限り、そうした工夫は他の慶應のキャンパスでは見られないそうです。キャンパスツアーに関する工夫は私が責任を持って嗜好を凝らしています。そんなことができるのは、学生スタッフが自主的に動くことができるからで、その分のやりがいを大きく感じます。
- 臨機応変な対応ができるようになる
イベントには突発的に対応せねばならないことがたくさんあります。たとえば熱中症をはじめとする急病人対応や、残念ながら発生してしまう不審者対応。そうでなくても、来場者に突然質問を受けることもあります。そうした突発的なことへの対応は、臨機応変さを身につけるのに格好のチャンスです。また、学生ガイドにはBLS講習が必修となっているため、ちゃんとした知識をつけることができます。
- プレゼンテーション能力があがる
学生ガイドはかならずそのシフトにキャンパスツアーを入れられます。つまり、キャンパスツアーの30分弱、喋り続けることを求められます。そのための練習会・トレーニングもなんども組まれます。もうこれで、否が応でも30分間人に喋り続けることができるようになります。
- 恥を捨てられる
私が行っているキャンパスツアーが模範になってしまったせいで、かなり色々喋るツアーとなってしまいました。それがカルチャーとして定着すると、冗談も言わなければならなくなってしまいます。また、練習会は平日のキャンパスで行いますから、他の学生も見ています。知り合いにも会うかもしれませんが、恥ずかしいとは言わせません。プレゼンテーション能力が上がるということは、つまり恥を捨てることにもつながります。
- 受験生と接することでフレッシュな気持ちになれる
目を輝かせた高校生たち。子どもの進路に真剣になる親御さんたち。そういうみなさんにきちんとした情報を伝えることが学生ガイドの使命になります。そうした皆さんと接することで、特に目を輝かせた高校生たちの希望に満ちあふれた顔つきと「こんなことを勉強したいんです!」という熱い想いに接することで、こちらのモチベーションも上がってきます。
- 学事の皆さんがどんなことを常に気にしているかが分かる
学事の皆さんとお仕事をすると、慶應義塾が公式に行うということにおいて、何がよくて何がダメなのかが分かるようになります。得てして大学生は、大学当局の対応について、杓子定規だとかなんだとか思ったりするものです。時にはキレることもあるでしょう。しかしそのうらにはちゃんと意図がある。その意図を汲み取れるようになるだけで、オープンキャンパス以外のシーンで学事窓口に関わる時にも気持ちよく接することができます。
- ちゃんと給与が出る
何より。これはボランティアじゃない。オープンキャンパス当日は大学公式のアルバイトとして、慶應義塾からの給与明細を受け取れます。
こんなメリットを享受できる学生ガイド。
みなさんも応募してみてはどうでしょうか。
追伸:もしも気が向けば、enshinoチョイス・キャンパスツアーのネタベスト10でも書きますね。またあとで。