OriHimeが教室に来た話 – 道徳「『障害』を越えて – OriHimeパイロットたちの希望」

2019年の4月に出会い、そこから3年にわたって、学年団副担任・英語科教科担任として関わってきた45名の生徒の卒業を見届けて、早1ヶ月以上経ちました。彼らがすでに営みを始めている、それぞれがえらんだミチにおいて、より豊かに生きていけることを願ってやみません。

この45人との日々においては、メンタルブレイク寸前に至ったこともあったし、突然の休校に迫られたこともあったし、コンセプトのもとに集った生徒たちの自主性に感動したこともあったし、成長の尊さと、生身の思春期の人間に向き合うことのしんどさを、この3年間でだいぶ感じてきました。そんな45人の生徒たちの良さを、多くの同僚は口を揃えて「いたわり・やさしさ」と表現していました。

この記事は、この「いたわり・やさしさ」という良さに対して、あえて揺さぶりをかけることで、それでもやはり「いたわり・やさしさ」、いや、「おもんぱかり」を持って、それぞれの進路に進んでほしい、という私の願いから実践した、道徳の授業「『障害』を越えて – OriHimeパイロットたちの希望」に関する記録です。背景や経緯と、授業の進行を、それぞれ章立てしていますので、目次からご覧ください。

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「 #初任者へおすすめの一冊 」(2022年版)に向けて書いた、もう一冊のおすすめの本

昨年のこの時期、古くからの友人である、軽井沢風越学園の木村彰宏先生(私はあっきーと呼んでいる)にお誘いをいただき、2020年に読んだ本の中でも感銘を受けた、宇田川元一先生の『他者と働く』を、学校現場に飛び込む初任者へのおすすめの一冊として紹介しました。

初任者へおすすめの一冊vol.2『他者と働く – 「わかりあえなさ」から始める組織論』宇田川元一(著)

そして今年も、この企画に参加させていただくことになり、選者の一人に選ばれた喜びから、早々におすすめ本記事を書いてしまった結果、シリーズのvol.1の座をいただくことになりました。

遠藤忍さん「初任者へおすすめの一冊『こども六法の使い方』山崎 聡一郎(著)」

ところが実は、掲載した 山崎聡一郎『こども六法の使い方』とは別に、もう一冊のおすすめ本を用意しており、企画チームの一員であるたかのまさこさんにどちらがいいかを選んでいただくことにしました。結果、『こども六法の使い方』をカタリスト for edu の媒体に掲載してもらうこととし、もう一冊は enshino.biz で紹介することとしました。それでは、以下よりおすすめ記事をご覧ください。
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私の Vision / Mission / Value

明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、年頭のご挨拶も兼ねて、これまでと変わらない、今後の自分の在り様を表す Vision / Misson / Value について、その背景も含めて書き記しておきたいと思います。

というのも、2022年には、拠点やら仕事やらにおいて、変化が発生することが見通せている状態であり、そうなったときに、すくなくとも3年前に設定した自分の Vision / Mission / Value のうち、特にMissionが変わってきそうな気がしたのです。しかし少し考えてみて「いや、変わらないな」と気づきました。しかしながら、対外的なプレゼンで Vision / Mission / Value を出して話すことは多いものの、それがいったいどういう意味なのかを文面に起こしたものがないことに気づきました。そこで、改めて自分に言い聞かせる意味でも、年頭の目標設定のごとく執筆をしておこうと思います。

Vision
この生きづらい世の中で
勇気と気づきが
まだ見ぬ明日を切り拓く

Mission
学校と社会をなめらかに

Value
わたしとは違うあなたと
一緒にうまいことやって
誰かに役立つことをする

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なれない革靴で、足が痛い

ただいま、飯塚。ただいま、我が家。

ここのところ東京に行きまくっていた。懲りずに受けた国家公務員経験者採用試験(係長級(事務))のために、10月初旬と11月初旬に、さらには試験通過後の某省の官庁訪問のために11月下旬に。すべて自費の交通費もバカにならないが、冬のボーナスで精算。

そこへきて、この週末にまた上京。大学時代からプロジェクトを共にした後輩ながら、気づけば飯塚の地で私より先に学校教員をしたTFJフェローの先輩。彼女のプロジェクトも引き継いだ部分があった、ということもあり、「いったい俺は何枠?」というところで列席した挙式と披露宴は、晴天に恵まれ、暖かい演出のもと、つつがなく行われた。めでたい。

そこへきて、土発日着にすればよかったものを、金夜発にしてしまい、そして徹底的に荷物を減らそうとした結果、昨年購入してそれから登場機会の少なかった革靴を履いて、その革靴で2泊3日を過ごした。

結果、足が痛い。 続きを読む

カフェラテとフレンチトーストと。

実家に来ている。

明日、都内で用事があるので、月火の有休を取った。土曜に、生徒会の役員たちと、他校の生徒たちと交流するオンラインイベントに参加し、それを終えて北九州空港から羽田に飛んできた。スターフライヤーはPax Japonica Grooveの搭乗ミュージックを聴くために乗るようなものである。そんな時間を過ごして辿り着いた、我が地元である茨城県古河市、その駅から徒歩5分にある我が実家は、えらく寒かった。

実家のある古河には、長いこと足繁く通っているカフェがある。Ocha-Novaという名前のそのカフェは、私のインスタグラムをご覧の方には「かわいいラテアートのカフェ」として認識いただいていることと思う。実家に来たら必ずと言っていいほど寄りたいと思う店でありながら、訪問はじつに夏ぶりになった。10月・11月と、数回にわたって古河に来ているのだが、だいたい日→月と宿泊して、月夜便で福岡に戻る行程だったので、月曜定休のこの店には足を運ぶことができなかった。

このカフェで、たくさんの記事が生まれてきた。久々に訪れた、大好きな空間で、かわいいラテアートが施されたフレーバーカフェラテと、甘いフレンチトーストを口に運びながら、ここのところできていなかった、モヤモヤと考えていることをただつらつらと文章に書き起こすことをしてみようと思う。 続きを読む

“Try Something New” という生徒会コンセプトをめぐるいきさつ

生徒会顧問教師をしています。

マクロミル勤務時代は、人事として、現場のマネジメント課題に対して寄り添ったり、社員の成長を願いながら手立てを講じたりしてきましたが、その実、マネジメント職にあったことはありませんでした。チームメンバーをもって、成果達成のための仕事にあたる、という意味でのマネジメント業務についたのは、生徒会顧問としての職務が初めてでした。

2020年1月に発足した令和2年度執行部、そして2021年1月に発足した令和3年執行部の、2つの年度の担当をして、どちらの年度の執行部でも、期初に「年間コンセプト」を定めることにこだわりを持ってきました。つい先日、令和3年執行部・2学期の一大イベントである「文化発表会」を終えたのですが、今年の文化発表会に向けた取り組みは、この年間コンセプトを体現したと言っても過言ではない活動になりました。

タイトルにある “Try Something New” は、その令和3年執行部の生徒会コンセプトです。正式には

Try Something New
〜おそれない・みはなさない・あきらめない〜

という表記です。今回は、このコンセプトの出自と、そこにこだわった結果、起きたことについて、書いていきたいと思います。 続きを読む

オンライン学習のよもやま:番外編「教員のためのコミュニティを創った件」

新型コロナウイルス感染症の勢いは止まるところを知らず、デルタだ、イータだ、イオタだ、カッパだ、ラムダだ、ミューだ、と、変異株にギリシア文字が付けられるごとに、卒業した慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の建物のことを思い浮かべる。特にデルタ株は若年者への感染力が高く、その猛威がこの夏、学期明けの学校現場に「感染予防」という名の下に、臨時休校だの午後休校だのといった形で押し寄せた。結果、かなり多くの先生方が、オンライン学習・オンライン授業へのチャレンジに追い込まれた格好になった。私の勤務先自治体は、その結果、午後の自宅オンライン学習に向けた「練習」として午前中にGoogle Meetの接続を行った学校が多くあり、そのせいでネット回線がパンクした。

そんな状況になることを予見していたわけではないが、端末配備が完了してしまったGIGAスクール構想施策と、実態としてなかなか進まないICTを活用した学校教育の推進とを目の当たりにして、私はあることを思い立った。

そうだ、Google Educators Groupを筑豊に立ち上げよう。

思いついたのが6月末ごろ。そして7月頭に開催された、市内各学校の情報教育担当者研修において、「この人をリーダーに据えたら良さそうだ」という教諭を見つけてリクルート。そして、のれんわけをしてくださった GEG Fukuoka City の協力を取り付けて、構想から1ヶ月程度のうちに、九州で3番目のGEGである GEG Chikuho が立ち上がってしまった。

今回は、この顛末について、以下つらつらと書いていこうと思う。 続きを読む

学年通信文学「環境は人に意志を抱かせ、その意志が未来を切り拓く」

学年通信を担当しています。

かれこれ3年目。もう2年目の後半くらいからは、私が好き勝手にいろいろと書いてきています。過去にはこんな記事も書きました。

期せずして最後になった学年通信に「担当者が書きたいことを書くコーナー」を載せた

学年通信への文筆 – 「お互いを分かり合い、信頼し合う方法 – #BlackLivesMatterから」

学年通信文学「修学旅行で泣いた私」

そして、2学期のスタートに寄せて、そんなに長文を書かなくてもいいのに、筆が乗ってしまったのでついつい長い文を書いてしまいました。国語の長文問題を解かざるを得ない生徒たち向けの、読解トレーニングの一種だと自分に言い訳をして、いつも長く書いてしまいます。今回はその全文を、皆さんに共有しようと思います。 続きを読む

オンライン学習のよもやま:⑩「生徒総会をDXする」

新型コロナウイルス感染症の収束がまだ兆しを見せない中、気がつけばもう令和3年度の1学期が終わってしまっていた。教育におけるICT活用も、一人一台端末の本格導入となった4月から4ヶ月が経ち、勤務校の生徒たちはだいぶ利用に慣れだしてきた。生徒たちは、慣れてきたので休み時間にGoogle検索で「パックマン」と検索し、Doodleでパックマンをして遊んでいるところを私に見つかり、冷ややかな目線とともに「それ、学習用PCの使い方としていいと思ってんの?」と、私に諌められているのであった。

Withコロナ状況下での学校運営も2年目となり、ただICTを使うだけでは珍しがられなくなってきているが、いまだに「Zoomを使って生徒総会を行いました」という、新聞記事や各学校のブログを目にする。そうとう当たり前度が増してきたリモートワークやクラウド活用も、学校現場ではまだまだメジャーではなく、「Zoomを使う」というだけで珍しがられる。しかし、「実際にどのように行ったのか」というHow to部分は、なかなか記事としては公開されていない。

久々にブログを書く気が起きてきたので、過去2年間のオンライン生徒総会の実施を踏まえて、生徒総会プロセスのデジタルトランスフォメーション=DXについて書いていこうと思う。ちなみにだが私が本稿で用いているDXとかデジタル化とかいう言葉は、ある種「なんちゃって」で使っているくらいのものでしかないし、デジタイゼーションとデジタライゼーションはどっちがどうのこうので、とかそういう詳細のことは脇に置いておいているので悪しからず。 続きを読む

[説明会終了] 総合学習「えらんだミチをかたる」 キャリアメンター募集

たった一つの正解なんてないこの世の中で生きる中で、
それでも前に進むために自分の納得した解を信じたい。

過去の自分が歩んだ道が、未知の未来へと続いていく。
自分のミチを信じるために、自分に言い聞かせてみる。

同じ学校に勤務し、学年持ち上がりで中学3年生の学年団に所属することになった今年度。2019年度のPepperプログラミング学習、2020年度の農業ビジネス体験学習に続き、今年度は「自己決定を言語化する進路選択学習」に挑戦します。その核となるのが、「人事と中学生の2on1プログラム」です。

現在、この企画にご参加いただく「キャリアメンター」を募集しています。その中心となるターゲットは、事業会社の人事後担当者さま、そして人材業界(人材紹介業や教育研修業など)に勤務されているみなさまです。現在または過去にこれらの経験をお持ちであれば大歓迎です。またこれに限らず、このプログラムに賛同いただける方はぜひお申し込みください。

以下の企画内容をよくお読みいただき、フォームから個別に遠藤までご連絡ください。説明会は終了しましたが、個別に本エントリー方法をご案内します。 続きを読む